灯台下暗し
●◯●
気が付くと、俺は自宅のリビングで大好物のアップルパイを食べていた。
「運命が変わった……? でも、どうして……俺が殺されたのは過去じゃなかったのに……」
俺がそう呟いた瞬間、リビングの扉がガチャリと開き、ヴィーナが現れた。
そして、彼女の大きな目から、ポロポロと涙が溢れ出す。
「太陽……太陽っ!」
ヴィーナが、俺の胸に飛び込んで来る。
「良かった……本当に良かった……!」
「……もしかしてヴィーナ、お前が俺の運命を変えてくれたのか……?」
俺の問い掛けに対して、ヴィーナは頭を縦に振った。
「太陽、出掛けたきり帰って来ないから……心配になって、それで……っ」
「…………」
ああ。
俺はなんて馬鹿だったんだ。
俺のことをこんなにも心配してくれる人間が傍にいてくれていることに、そのありがたみに、どうして気付かなかったのだろう。
「ヴィーナ……本当に、すまなかった……」
これからは、ヴィーナを悲しませるようなことだけはしないようにしよう。
そんなことを考えながら、今ここにいられることの尊さを噛み締めながら、俺はヴィーナが泣き止むまで彼女のことを抱き締め続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます