第7話 小坂部の恐怖
わらわは一目でこの城が気に入ってしもうた。
まるで
姿を消して城の中へ入って行くと、どうじゃ、おおぉ、おるわ、おるわ、
若い男はわらわの
子供も旨いが肉か
やはりわらわの
しかしまだ
あれに何度も斬られると、わらわとて無事でおれるかどうか。
まぁ
その昔わらわは
その侍を油断させて頭からかぶりつくのが何とも言えぬ。
その瞬間、わらわはしとねの時と同じ
その後は脳のみそを
良い男であれば性器をかじり取ることもする。
ほほほ、わらわはやりたい放題じゃ。
真夜中の
この城の真の城主が誰なのか、教える為じゃ。
わらわが
わらわが
戦国武将などと言うて偉そうに
この城はわらわの物じゃと言うてやった。
輝政はその通りですと答えおった。
まずは、この
そこは開かずの間と呼ばせ、誰も入って来させぬ様に強く言い聞かせた。
昼間の輝政は偉そうにして居るが、夜の輝政はわらわに
わらわが夜な夜な城の若い衆や、輝政の
わらわの注文を輝政は断った事は無い、いや、断らせなかった。
わらわが毎夜輝政の所へ注文を付けに行き始めると、輝政は段々と痩せていった。
そして寝込むようになった。
何とも弱々しい男か、
それでも輝政は病に
人間とは何と弱いものか。
かつてわらわも人間で在ったことががあるが、その頃はもっと弱々しい生き物だった。
その弱々しさの為、男どもにおもちゃにされてしもうた、だからわらわは今の強いわらわが気に入って居るのじゃ。
しかし……
ええい、
これも弱々しく病に伏せっている、輝政のせいじゃ、きっとそうじゃ。
お仕置きをしてやろうと思い、今夜も輝政の枕元に立ってやった。
輝政は泣いた、泣いて許しを乞うていた。
わらわの胸には虚しさだけが残った。
世の男どもを全て食ろうてやろう、それしかない、そうせねばわらわの気がすまぬ。
まずはこの輝政からと一瞬思うたが、辞める事にした。
この男はまだ利用した方が得じゃ、それに不味そうじゃ。
そうしている内に、輝政の病は段々悪化していった。
全国より名のある医師を集め治療にあたらせたが一向に良くならん。
ほほほ、それはそうであろう、わらわがこうして取り付いて居るのじゃ、その様な物が効くものか。
そうして今度は
ほほほ、最後は神仏に頼るのじゃな。
まぁ、神仏は実在するでな、その証拠にわらわがこの様な姿で生まれ変わって居る。
これが神仏の
しばらくして、比叡山から
ふん、坊主は好かぬ。
その阿闍梨が何やら
坊主の念仏を聴くと頭が痛うなってくる、じゃがこの阿闍梨の念仏はちと強力じゃ。
さすがは比叡山の高僧だと
我慢の限界にきたわらわは、その阿闍梨の元へ姿を現した。
妖しい女よ何しにまいったか、の様なことを阿闍梨が言うた。
わらわに対して、その様な口をきいた者など今まで一人も居らぬ。
そのうえこの阿闍梨は、
わらわに命令したのじゃ。
坊主の
阿闍梨は立ち上がり、「去れ」といきなり大声を出すので、わらわは驚いた。
いきなり大声を出されると、誰でも驚くであろう。
それを観た阿闍梨は、わらわが
寝床から観ていた輝政が嬉しそうな顔をして居るのが分かった。
周りに居る者たちも、これでわらわが退散するであろうと思って居る様だ、その様な眼をして居る。
わらわは本来の
一瞬の出来事だったので、周りの者も、輝政も言葉も出て来ない様だ。
坊主は不味いで喰いとうない、しかし気が収まらないので、その阿闍梨の生皮を
その時になって初めて周りの者たちが騒ぎ始めた。
わらわは気が立って居たので、そのうるさい者たちも、輝政を除いて皆殺しにしてやった。
その後は、わらわは開かずの間に戻ったのでどうなったのかは解らない。
しばらくして輝政の元へ行くと、綺麗に片付いていて、輝政は
土下座の体制のまま、わらわの足元にしがみつき、泣きながら許しを
わらわには人間の
輝政の寿命はもうそれ程長くはない、それなのにその僅かな時間を、こうまでして生きたいのか。
哀れな、戦国武将として今まで生きて来たのだから死ぬときは
余りにも哀れな姿は、わらわも観とうないのでその場で喰い殺してやった。
わらわはその足で次の城主になるであろう輝政の息子である
利隆はわらわが来ることが解って居ったのだろう、
小坂部姫様、父より全て聴いております、どうぞよしなにお願い奉ります、とこの様に礼儀正しく申して来た。
わらわも己が
そして、わらわに
観るとこの利隆、がたがたと震えて居た、ふふふ、可愛い奴よなぁ。
わらわは今すぐに喰うてやりたい衝動を抑えて開かずの間に帰った。
ここで喰うては、契約が成立せぬでな。
しかし、この利隆が
それまでの間、姫路に城主は居らぬ、がたがたじゃと皆言い合うておったが、わらわは思わず笑うてしもうた。
元々この姫路城城主はわらわではないか。
この通りほれ、まだわらわはぴんぴんして居るではないか。
ホホホホホホホ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます