初めてお酒を飲んだ翌日、目を覚ますと何故かラブホに居て隣にはミスコン女子が寝ていた

田中又雄

第1話 ハッピーバースデー俺

 時計は0:00を指す。


 これをもって俺は未成年から成人になった。

感想は?と聞かれても実感なんてない。

数秒前の自分との変りもないし、下手すれば数年前の自分ともどれくらい変わったか分からないくらいだった。


 コンビニで買った小さいケーキに二つの蝋燭を立て、火をつける。


 一応部屋を真っ暗して、「ハッピーバースデー俺」と呟き、そのまま息を吹きかけて火を消した。


 ひとり寂しくハッピーバースデーを祝った。


 ◇


 あの後はすぐに寝て、起きるといつものように大学に行き、5講まで受けて、そのまま一度帰宅する。


 そうして、家のことを一通り終わらせて、準備を済ませて18時に家を出た。


 向かったのは駅にある居酒屋チェーン店だった。


 そう、俺は二十歳になり、初めてのお酒に挑戦しようとしていたのだ。


 いきなり1人居酒屋という特殊な状況に心躍らせつつ、どこか恥ずかしさを覚えつつ、お店に入る。


「「「いらっしゃませー!」」」という元気な声に圧倒されつつ、「予約していた工藤です」と、店員さんに伝える。


「確認しますね!...えっと、15名様で予約の工藤様ですか?」

「いえ、1名です...」

「あっ、失礼しました!1名様で予約の工藤様ですね!こちらの席はどうぞ!」


 1名ということを強調しないでくれ...と、思いながら案内された個室に入る。


「ご注文はそちらのタブレットからお願いします!」


 ...なんとも素晴らしい、某回転寿司屋のタブレット注文システムが採用されているとは。

コミュ障の俺には非常に助かるシステムだ。


 そうして、適当に美味しそうな串やらお肉料理とビールを注文。

もちろん、飲み放題での注文である。


 注文して割とすぐに並べられる料理とビール。


 ひとまず、ビールを飲んでみる。


「...なんかにっが...」


 CMで美味しそうに飲んでいるあの様から想像できないほどの味。これが美味しいって本当なのか?コーヒー的な部類のアレなのか?


 そうして、ご飯を食べつつ何とかビールを飲み終えて、次はハイボールに挑戦する。


 これはまぁ...少し味が変ではあるがビールよりは飲みやすい気がした。

しかし、意外と酔わないものだな。


 それから、ワイン、日本酒、カクテル、チューハイと次々に飲んでいく。


 確かに少し視界がグラグラしていて、なんだか楽しい気分になってはいるが、記憶がなくなるとかはない。


 意外と俺は酒に強いのかもしれない。


 そうして、席の時間が来てしまった俺はその店を後にして、フラフラと歩いていると駅から少し離れた場所にあるおしゃれなバーが目に入る。


 あぁ、確か前に一回見かけて、二十歳になったら着たいなって思ってたんだった。と、完全にお酒の勢いに任せて、そのお店に入った。


 ◇


 目を覚ますと、見知らぬ高い天井があった。


 ホテル?...だよな?


 覚えているのはおしゃれなバーに入ったところまで。

その先のことは一切覚えていなかった。


 ...てことは酒に酔った勢いで家に帰らずホテルに泊まったってことか...。

路上で起きるとかなってなくてよかった。

てか、お酒はもう飲まない...。


 当然、初めてでお酒を飲みまくったせいで頭はガンガンするし、めちゃくちゃ気持ち悪い。

てか、今何時だ?


 そう思いながら、顔を横に向けると、そこには女の子が寝ていた。

しかも知っている女の子。


 そう...うちの大学のミスコンで優勝した...成瀬 愛理だった。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088991504021


「...は?」と、理解できない状況に思わずそんな言葉が出る。


 すると、そんな言葉で目を覚ましたのか、「...ん...」と少しずつ目が開き...そして、「あら?起きたの...ダーリン」というのだった。

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