第4話
康太は、この居酒屋で私と同じ時期にバイトを始め、就職と共に辞めた男である。
「あー、こないだ別れました」
あらっ、と驚く安西さんに、私は軽く笑いかける。
バイト仲間だった康太と付き合い始めたのが大学2年の頃、別れたのがついこの間。
4年ほどの付き合いの終わりは何ともあっけなかった。予想外の返事に戸惑う安西さんに、私は軽い口調で言う。
「ほら、私って大学卒業してもここでバイトしてるフリーターじゃないですか。康太的には彼女がフリーターっていうのが許せないみたいで、『俺との将来のためにもちゃんと働いてくれよ』からの浮気です」
相手は康太と同じ会社の経理の女の子。
ひとり暮らしをしながら毎日手作り弁当を作り、週一でヨガスクールに通い、休みの日にはお菓子を作り、資格の勉強も怠らず、毎日良い香りを振り撒き、自分磨きを辞めない、そんな私とは真逆の女の子だという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます