振り返れば、キミがいる

@JULIA_JULIA

第1話

 ワタシとキミは、二人きり。いつものように、二人きり。今日も、二人だけの時間が始まる。






 少し待ってから、振り返る。するとキミの楽しそうな笑顔が見える。ワタシはその表情を心に焼きつけてから、キミにまた背中を見せる。そんなことの繰り返し。


 やがてキミの手が、ワタシに触れる。分かってはいても、少しドキリとする。そして立ち去るキミの姿を目で追いながら、声を発する。


 程なくしてキミは立ち止まり、今度はワタシが近づいていく。だけどキミには届かない。懸命に伸ばした腕が届かない。


 けれど、それでイイの。───いいえ、それがイイの。キミから近づいてきて欲しい。キミの方から触れて欲しい。


 ねぇ、お願い。また触れてよ。


 そんな想いを秘めながら、ワタシは口を開く。






「だ~るまさんが~、こ~ろんだ!」



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