第2話 おっさん、モンスターに襲われる
俺が草原を歩いていると遠くから何かが走ってくる音がする。
ドタドタドタドタ
すごい勢いで俺のほうに近づいてきているようだ。
「なんだあれは」
何かの動物か?数も多いな。
俺はとっさにチート制作で望遠鏡を作るスキルを作り望遠鏡を作ってそれを覗いた。
いや、望遠鏡というより、やはりウィンドウが出てきて、その中に拡大された映像が映し出されているようだ。
スキル名は「望遠モニター」だそうだ。
「なるほどな」
まあ使えればなんでもいい。
それより、俺に近づいてくる動物はどうやら狼のような動物の群れのようだ。
狼のような動物は目を見開いて俺を凝視し、口を半開きにして長い舌をだらんとたらし、よだれを垂らしながら全力疾走してくる。
「きもいな」
どう考えても俺が狙われてるよなあ。
あれはたぶんモンスターなんじゃないか。数は10頭。
早くなんとかしないと俺は食われてしまう。
「仕方がない、アレを使うか。『ゾーン』発動!」
シュピィーーーーーーーン
俺は精神を限界まで研ぎ澄ませて集中し「ゾーン」状態に入った。
俺以外の世界が異常なほどスローモーションになり、ゆっくりと思考を巡らせる余裕ができた。
この「ゾーン」とはチートスキルではない。本来、誰にでもできる純粋な身体操作能力だ。
だが普通は簡単にゾーン状態になることはできない。
俺は幼少のころからの修行によって、いつでもどこでもゾーンに入ることができるようになった。
幼いころ川に落ちそうになった時に、ゾーンに入って落下を回避したことをきっかけに、あえて自分を危機的な状況に陥らせることを繰り返すことで、ゾーンを発動する感覚をつかんだ。
しかし、ゾーンは精神的にも肉体的にも消耗が激しく、頻繁に使うことはできない。
ここぞという時の最終奥義なのだ。
「ゾーンの説明はもういい。目の前の敵に対処する手段を考えなくては」
俺はいったい誰に向けて説明をしていたんだ。
どうでもいいことを考えていたせいで敵はもう目の前に迫ってきている。
さて、どうする?戦うか?何か武器を?いや、武器で戦った経験などないだろう。
逃げるか、飛ぶか。しかし空に逃げたとして、この世界では狼も空を飛ぶかもしれない。
では地中か。息ができないし動けなくなる。馬鹿か。
「ええい、もういい!圧倒的な力で薙ぎ払うんだ!」
そうだ、火炎放射だ。圧倒的な火力で焼き尽くしてしまえばいい。
「チート制作!火炎放射を所望する!」
~スキル「ヴォルカニックイレイザー」を習得しました~
「よし、やるぞ!」
俺は迫りくる狼に向かって両手を向ける。
狼の群れは今にも俺に襲い掛からんとするところだ。間に合ってくれ!
「ヴォルカニックイレイザー発動だ!」
ズヴォカァーーーーーーン!!!!!!!!!!!!
なんと俺の両目から爆炎が飛び出した。
「うわあ!なんだこれ。見えねえ!やめろおおお!」
なんで目から炎がでるんだよ。びっくり人間かよ。
俺はスキルを止めようとするが、目の前の敵を焼き払うまで爆炎は止まらない。
「くそお!もうどうにでもなれ!」
炎は広範囲に広がり、狼に直撃しているはずだ。この至近距離でよけられるはずもない。
俺はそのまま狼がいるであろう方向に爆炎を出し続けた。
何かが焼けるいやなにおいがする。
やがて炎が止まった。
ジュウウウウウ~~~~~
目の前に黒焦げになった狼の死体が転がっている。
「やったか」
何とかなったな。こんなに危険なスキルだとは思わなかった。俺自身が無傷で本当によかった。
おそらくスキルを作る際にスキルの詳細を設定しないと自分が意図しないものが出来るのだろう。
焦りながらスキルを作ったのもよくなかった。
「もう少し扱いやすい攻撃手段を考えるか」
ゾーンを使ったら腹が減ったので、こんがり焼けた狼の肉を食ってみたがまずかった。
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