第3話 おっさん、地図を作って町を探す

「指からビーーーム!」


ビビビビビビビビ


木に穴が開いた。

俺はチート制作で扱いやすい攻撃手段「指からビーム」を編み出した。

このスキルは指から直線的になぞの光線を放って当たった対象に穴をあける攻撃手段だ。

対象からの距離が離れるほど威力が落ちて、100メートルほどで光線が完全に消えるという安全設計である。


ヴォルカニックイレイザーは正直言って失敗だった。強すぎる力というのは戦闘の素人が容易く扱えるものではないのだ。


「さて、日が暮れる前に町を探さないとな」


生きるために必要なのは食事と睡眠、そして仕事か。

異世界ファンタジーというとやはり冒険者ギルドに行って冒険者登録するのが筋だ。

俺の能力をもってすれば、S級冒険者になるのも容易い。

イケメンの俺が最強の冒険者になれば、若いメスがいやというほど群がってくるだろう。


「やみくもに草原を歩いていても町にはたどり着けない。地図を作ろう」


ステータス画面のようなウィンドウに地図が表示されるものがよいかな。

当然、現在地の表示と拡大縮小機能、表示位置のスライド移動機能がいる。指で操作できるのが望ましい。


「チート制作、『地図ウィンドウ』のスキルを作りたまえ」


~承知いたしました。「地図ウィンドウ」のスキルを制作いたしました~


よし、これで迷わずに町に向かえるな。

さっそくスキルを使おう。


「いでよ。『地図ウィンドウ』!」


バアアアァァァァン


思った通り、目の前にウィンドウが出て周囲の地図が表示された。


「本当に何もないところなんだな」


地図には周囲の地形が表示されるだけで町の名前などは出てこない。

もう少し縮小して表示してみるか。

俺は画面の横にあるズームバーみたいなものを指で操作した。


海が出てきて陸地の形状が見え、自分が四国みたいな形の大陸の西方いることがわかった。

この大陸はいくつかの国家に分かれているらしい。


「ほうほう、山が国境線になっているのか。都市の多くは海沿いにある。ここはかなり辺境の地のようだ。」


こんな平野が何にも使われていないとは、国の規模はよくわからないが人口が少ないのだろう。モンスターが出るから開発が難しいのかもしれないな。


ちなみに今いる国はノルゴミョン王国と言うらしい。

海岸の都市部までは遠いので近くにある人里を探さないといけないな。

俺は地図を拡大して、今いる地点の周辺を調べる。


「今いる場所から一番近い村は、ボッカ村か」


小規模な村は地図を拡大しないと名前が表示されなかった。


「今日はボッカ村に泊まらせてもらおう」


まあ今、無一文なんだけどさ。

最悪の場合、村の敷地内で野宿すればいいさ。

モンスターが出るような場所で野宿するよりはましだからな。


俺はボッカ村に向かって歩き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る