第5話

 4日目。

 4時半。早起きにも程があるだろ。

 疲れた。

 ''あいつら''は、いま2日目だからもうそろそろ帰る時間か……

 泉谷智の目はまだ腫れている。

「もう俺、なんで生きてんだ……」

 泉谷智は、通りすがった看守を呼び止めた。

 智は力無く、「トイレ……」といった。

「そこでしろ」看守も生きた心地がしないみたいだった。

 泉谷Aは、立ちションをしたことなかった。

「違う、お前の後ろ」

 キッズトイレのマークがあった。なるほど一安心だ。

 キッズトイレは牢獄からは丸見えだが、看守自身は入ったことはない。なるほど当然だ。

 泉谷智は自分には似合わないキッズトイレに入った。と、一筋の希望が見えた。

 穴があった。前の人が脱獄しようとして掘ったのだろう。

 だから、いま看守がいる、あっこが看守用トイレになったんだ、と智は想像した。

 智は、穴の中で再び寝た。

 夢の中で脱獄の方法を書いている自分がいる。何故か空高く、遠くから見つめている。自分の顔って、塗装が剥がれたトラックのインクやら、鳥のフンやら、鉄の擦った跡やらでこんな汚くなってたのか……。

 紙を読んだ。なるほど抜け目ない方法だった。ただし必要なことが一つ……。


のことに戻ろう。兄の家で寝た泉谷一家。SO兄弟はそこから車で74キロほど進んだSAで寝ることにしたてい。午後8時49分。出発が5時27分。なぜか? 今日の夜はトラックの最後の仕事とかで通勤ラッシュよりも大きな渋滞になっているからだ。ゴールデンウィークの時よりも大きな。

 このサービスエリアはサービスエリアの中でも大きい、と兄弟は思った。神様からのご褒美だろうか。

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