第3話

s 次のJCTに到着した。

 左 仙台、水戸 東北自動車道

 右 宇都宮 関越自動車道・静岡 東名

 前 静岡 新東名


 かなり複雑になっている。

 みゆきは、手で合図を送った。

 右向きに2回……。


 ナント! ココデ事件発生!

 少年SOが手の動きに追いつけず中央に行ってしまったのである。

 みゆきはスマホの上に手を乗せてスワイプしている。フリック入力である。

 

 しゅぽっ

 しゅぽっ


 ラインの発明者にいっぱいラインが来てうんざりしたなら、全員アカウントブロックすればいいのに……


 3回目のメールで、少年SOが足柄サービスエリアに着いたという返信が来た。


「今すぐ降りてっ!」

「そっか、でも出口少ないんよ。左ルートと右ルートどっち通ればいい?」

「どっち通ってもいいわ、安全な方」

 5分した。

「右ルートを追加した」

「OKOK、それと通過ね、追加じゃなくて」

 爆発寸前の爆弾を手に持っているリアル爆弾ゲームのような雰囲気が、まもなく車内に伝わってきた。


「そういえば、ヒコは? 弘中博彦!」

 声を上げたのは康二だった。確かに、後ろを振り向くと、いない。少年SOの親友で、さっき足柄でSOの車に乗り込んだ、と行っていた。弘中の車は、彼の連れ合いが、家に帰した、と。

 

 勝手にパーキングエリアに入ったのかな……。

「ねえ、これ私の考察なんだけど……」


「かもしれない!」

「言われてみれば確かに」

 両親が相槌を打った。

 泉谷みゆきの「脳内」は、このように回っていた。


 ——おそらく、智は、なんか冤罪で指名手配されてて、(なんかゲームみたいだな、ゲームといえば今日なんか発売されたよなぁ……)待ち構えてた警察に捕まったのだろう。そうしとけば大体のところは点と点が繋がる。

 でも、その後どうしたものだろう。智、うまく切り抜けられるかなぁ。

 

 みゆきは心配になった。しかし、到底そういう気にはなれなかった。それは、他の乗客も同じだった。

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