第3話 コピー

得てして、生物はデオキシリボ核酸の有用性にのみ依存して5億年のスパンを獲得してきた。



彼女は37歳。美貌には自身があった。

パブで歌えば男が尽くし、席料を徴収するだけで軽いアパートには住めるだけの汚金が彼女の口座に振り込まれていた。


ある時業者が尋ねた。冴えないが、物覚えが良さそうで利口だったから。

彼女は。

女は。

業者の男を部屋に入れ、暁月の夜を過ごした。


男、雄は捨て身だった。

肉茎だけが物語り、

それ以外は皆無毅然依然として彼女は、

女は膣穴の粘膜穴をひけらかし、ふただまみかけた。


そうすることが女にとって、

「膣」にとって陰茎を自らの口座に至らしめる唯一の手段だと踏んでいたからだ。


「そばにいてくれると信じていたよ。」


「膣」の眼球は淘汰されている。

『潰れて』いたのだ。


陰茎はそれでも膣の眼窩窓にアイマスクをして。

子孫を残すという名の、

生物的な種の保存という根源を施そうとする。


「 czgん↓rーwgうぃhwgw(中略)s-きだ!好きだ!見た目なんてそんなの違う!魂が好きだお前のその温もりと慈しみ優しさ…言葉にできない。」


…「お前と結ばれたい。ミユと。」


魂の保存ディスクに人塊を擁するには、明らかに容量が不足しているのは明らかだった。


「私の目。」


「昔ね、痛かったよ。痛くて痛くて。視界がいきなり黒くなって押し潰されてさ。」


膣の視界は酩酊している。


「黒いの。世界が全部黒い。それ以来はもう私の視界に入るものぜんぶぜんぶ真っ黒で何がなんだかわかr…」


「」


雄は膣の身体を優しく抱きしめた。


人間って、目に見えるものが見えなくなってしまったら何にもならないんだな。


「だからミユは俺と同じディスクにいればいい。

入れば君の目も全部が健全に補填されるから。信じて。」

「眼球サンプル1億3200万個体目。

依然として臨床試験は通過しているのよね?」


「そうだ。たとえばボールを見てごらん、数え切れないほどの毛糸が蹂躙し雁字搦め合って一つの球体をなす。すなわちかつて生きていた哺乳類の眼球に内包される毛細血管に等しいではないk…」


「おじいちゃんそれもう聞いた。」


ラボを出て幼女は廃絶に堪う。


最も、その幼児はヒトのDNAを。

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