第2話 諧謔
「同じ場所で、吸う。
ほらね、安曇けない君の顔。
確かに君、そこにいる。
そうして息してる。」
彼女は僕と同じ草地にいた。
星夜の綺麗な夏の嗅。
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彼女との別れ。
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次の日の夜にようやっと彼女を見つけて辿り着くキャンプ場は日照りのまま時間が止まったかのような、
まるで夕食の支度を済ませていない平和な家庭の一助すら彷彿とさせるような呆れぶりで応えた。
精神的謙遜を置き去りに、
月日だけが過ぎて行ったが故に否応無しに迎えた「成人」と言う名の昨日のままの在処を僕はきっと彼女の所在に委ねすぎていたのだろう。
焦燥感から僕は彼女を追いかける。
でも次の日目が覚めると知らない場所にいて、彼女の姿は無く。
なんとか昨日いたキャンプ場にたどり着くものの、彼女は依然いなくて。
でも日付は昨日のままで。
つらくて泣いて。
でもあきらめずに必死に探して、
次の日の夜にまた同じ場所で、やっと見つけた彼女に残された彼女たる所以は声だけだった。
「探してたんだね。」
その容貌は書くものか。
幾許時間を超えてきた。
犠牲は孕まなかった。
人は場所を景色で覚え、知覚する。
息をする。
『同じ場所で、吸う』
息を止める。
血液が単に呼吸の過度に厭わないだけの流出物でしかないということと同時に彼女という偶像とその実在が場所という景観に合致して。
僕はとても満足をした。
僕は彼女の頭蓋骨を墓跡の足元に戻して埋めてやろうものかと思ったが、無意味だ。
人はサンプリングと座してなお昆虫を標本にする。同類である哺乳類でも言わずもがなであれば彼女をこのまま土の微生物に喰わせていいものか。
それならば僕が食う。
困惑して、急いで隣を見ても彼女の姿はまた無くて。
でもそこで学生の皆が歌ってる曲が彼女があの夜に口ずさんでいた曲で。
その中で歌わなきゃいけない焦燥感に駆られて、涙が出てきて、ひしゃげる。
その後彼女は学校裏の教室の窓辺にいたっけ。
今よりもとっても後ろ髪が伸びていて、束ねてポニーテールにして結んでいた気がする。
そうして僕はようやく彼女を見つけて、
「もうどこにもいかないで。」
こんなことを伝えた。
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「安曇けないアンタのそのかーお!だーいすきなんだからね。」
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持参した小袋に吐瀉物を掻き入れながらコックピットにいる僕は彼女の死の理由になれただろうか。
戦争もしていないのに。
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