第2話赤色の憤怒

僕はある惑星に降り立った。

そこは死にかけの星。いやすでに星に生命というものは存在しないのかもしれない。

だが僕の中にある星の力がここに行けという。


「何でこんなところに。」


それはここに生物が存在していとも言えるものだった。

加工されている金属。

それが何も無い荒廃した土地に落ちている明らかな人工物。

つまりこの星には生物がいた。


「やはりこの星はすでに死んでいる。」


僕はその原因が見上げた視線の先にあるものだと考えた。

巨大に膨れ上がった赤い恒星。


「さて、先ほどから星の力が示す方に向かうか。」


星の力によって導かれるままに僕は足を進める。


ーーーーーーーー


「ここは本当にライオネル様の領域なのか?」


「はい。宇宙航路図上ではここがライオネル様の領域のはずです。」


そこはすでに死んだ星系とも言えるほど酷い有様だった。


「これが本当に星の神の領域なのか!?」


僕らはここまで感じた星の力の痕跡を辿ってきた。それが我々の目的地であるライオネルの領域だった。

しかしながらそこはすでに死んだ星しかなく星の神の力すら感じなかった。


「この星系を調査する!全ての事象を見落とさずに私に報告するように!」


「「「はっ!」」」


しかしこれはどういうことだ。まさか星の鍵がすでに奪われたのか。

だが、星の鍵はそうそう簡単に奪えるものでは無い。


星の鍵は自らの領域の秩序を守るためのもの。

そしてその全てに干渉できる星の鍵が存在した。

しかしその鍵は星の神々に反抗した神によって奪われた。

裏切りの神は今どこにいるのかそれは分からない。

それでも宇宙のどこかで影響が出ている。

なので今目の前の出来事もその影響なのかもしれない。


「アンセリオン様。お忙しいところ申し訳ありません。アンセリオン様のご判断が必要と思われることがございまして。」


「どうした?行ってみろ。」


「はい。こちらをご覧ください。」


ホログラムで投影された空間をみた。


「こちら先ほど調査団が見つけたものでして。」


「宇宙船か?」


「はい。この宇宙船はまだ生きておりまして。その航路図を見たところ。」


それを写したものが拡大された。


「どうやら、先日崩壊した宇宙ステーションから真っ直ぐここに向かって来たようでして。」


「なるほど。もしそれが宇宙ステーションを崩壊させた犯人の可能性があるということか。」


「えぇ。そしてこのライオネル星域の壊滅に何らかの形で関係しているのでは無いかと考えております。」


「分かった。まずはこの星のを調べることを優先せよ。」


「かしこまりました!」


私が命じた部下が退出したところで私も準備した。


「何か嫌な予感がする。」


あまり自分は感がいい方ではないが、今本能的に嫌な感じがする。

自身は無いが保険はかけたほうがいい。

今持っている情報自分の考えは本部に伝えるべきだろう。

私は部下を呼び今の情報を本部に伝えた。


ーーーーーーーーーー


「にしても暑すぎる。」


星の力によって導かれるまま歩いていると洞窟に辿り着き下へと向かった。

だんだんと暑くなっていきそして人工物が増えて行った。


「さて、ここかな?」


最奥と思われるその場所に辿り着いた。

異様な雰囲気を放っており何者も寄せ付けないような扉だ。


僕はその扉に触れようと手を伸ばすと触れることもなく扉は開いた。


「あっつ!」


その扉の先は先ほどと打って変わって灼熱の地獄だった。


「ここが謁見の間か。」


僕はこの灼熱の道を歩き最奥に見える強烈な光を放つ光源に向けて歩みを進めた。


「ほう。お主、星の力を持つ人間か。」


巨大な炎が興味を示したようにこちらを見た。


「僕はこの力に導かれてここに来た。」


炎は何も答えない。

いきなり僕の意識は元の空間に戻ったように扉の前に戻っていた。


「何だったんだ。」


足元に落ちている朱色の宝石を拾った。


「何これ?」


途端に多くの足音が聞こえた。


「そこの者!その場にとどまれ!」


なぜかそういう命令をされた。


「こちらはティタイアス様の騎士団!このライオネル星域の秩序の平定するために来た!」


よく分からない奴らだ。

僕はそのままこの場を離れようとした。


「動くなと言った!こちらも実力行使をするぞ!」


それでも歩みを止めない僕に痺れを切らしたのか勧告せずに手に持った銃を撃ってきた。

だけどここに来るまでに自分の力を多少なりとも理解したつもりだ。

全ての銃弾とエネルギーは黒い渦の中に消えた。


「なぁ!奴の力が尽きるまで撃て!」


うっとしいほどかまってくるのでこっちも強行手段にでた。

先ほどから宝石が赤い輝きを放っている。


「まさかな。」


星の力がこの宝石の力を吸収していく。

そしてその力は一つの武器へと成った。

朱色の炎を放つ槍を構えた。

そしてその槍で銃を構えた集団に突撃をした。


「うん。いい感じ。」


僕は倒れている人を横目にその場を去った。


ーーーーーーーーー


「何!?調査団が全滅!?」


「はい。あの宇宙船を調査中にそれに乗っていたと思われてる人の行き先を特定して向かわせましたが先ほどから連絡が取れなくなり彼らの向かった先に捜索隊を編成し向かったところ彼らが倒れているのを見つけました。」


「そうか。それで何か分かったか?」


「はい。どうやらそこは謁見の間だったようで我々ではそれ以上のことは。」


「なるほど。では、その宇宙船に乗っていた人物の方はどうだ。」


「はい。そちらはあまり情報がありません。槍を使う青年としか分かりません。」


僕はそこに一つ引っかかった。


「では、宇宙ステーションを崩壊させた人物とは別か。」


部下が驚いたような表情をした。


「気づきませんでした。確かに宇宙ステーションを襲ったのは女性でした。」


「まぁいい。その青年は何か知っているかもしれない。重要参考人なのは変わりない。」


どういうことだ?彼の目的はよく分からない。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る