『監獄博徒』(1964年)
監督 小沢茂弘
脚本 小沢茂弘、村尾昭
出演 鶴田浩二、大木実、高千穂ひづる、山城新伍、南田洋子
前作から3か月後に公開されたシリーズ第2作はタイトル通りのプリズン・アクション。のちの『網走番外地』シリーズや松方弘樹の脱獄三部作の原型か?
明治の三池監獄を舞台に牢名主の鶴田浩二を中心とした様々な人間模様を描く。
ただでさえ男臭い世界なのに囚人たちは炭鉱で石炭を掘らされているため、劇中では、ふんどし姿の刺青男たちが泥まみれ汗まみれで入り乱れ、むさ苦しさMAX。
一方、その対比として、シャバでは女性たちのドラマが展開し(短いけど)、ム所とシャバ、男と女、塀が隔てる両者が影響し合って、クライマックスへと突き進んでいく。
さらにそのクライマックスで鶴田浩二とコンビを組むのが、高千穂ひづる演じる女親分。東映やくざ映画路線が始まって、わずか2年で殴り込みに参加する戦うヒロインが登場していることに驚かされる。
アクションシーンはかなりハデに……というより、ハデを通り越して、ディザスター・パニックのようなスペクタクルの域に到達。見どころは後半の落盤シーンとクライマックスの殴り込み。
前者はセットを実際に崩しまくるので、かなりの迫力。役者が通り過ぎた直後に大量の土砂が落ちてくるのだが、あれはどんな仕掛けになっているのか。一歩間違えたら、えらいことになるだけに観ていてヒヤヒヤしてしまう。
後者はなんといっても豪雨というシチュエーションが最高。雷鳴轟くビジュアルにこちらのテンションも上がる。
また、鶴田浩二がさらしにダイナマイトを仕込んでいるのも最高。もしかして、任侠映画初ダイナマイト? 高千穂ひづるの武器がチャカで、バンバン撃ちまくっているのも良い。これが『極妻』シリーズのサブマシンガンにつながっていくのだろうか?
同年公開、同一スタッフ、キャストで、ここまで差異があるならマンネリなんて言わせない。仕掛けの大きさを観ていると撮影スケジュールはどうなっていたのか。続く3作目は本作の2か月後に公開なんだよなぁ。
前作のレビューはこちら。
『博徒』
https://kakuyomu.jp/works/16818093088964222392/episodes/16818093089363888845
東映やくざ映画鑑賞記 しおまねき @aya2050
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。東映やくざ映画鑑賞記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
未整理の収蔵庫/嵯冬真己
★12 エッセイ・ノンフィクション 連載中 167話
表現のきざはし/そうざ
★26 エッセイ・ノンフィクション 連載中 83話
備忘録 週間日記/野森ちえこ
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 24話
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます