第7話 晴美の憂鬱

晴美はアイドルになりたかった訳ではない、キラキラしたインフルエンサーに憧れてライブ配信を始めた、配信を始めて三か月でイベントの上位に入れるようにはなってきたが、晴美のリスナーはガチ恋リスナー多かった、ガチ恋でも投げてくれるからよしとしていたが、一人のリスナーがストーカーになるようになった、最寄りの駅で自然を装って待っていたり切手のない手紙がポストに入っていたり、晴美は怖くなった、それがそのリスナーかもわかるから余計怖くなった、そんな時に「アイドルをやってみませんか?」という誘いが来た、今の時代アイドル系インフルエンサーもいるし、やってみようという気持ちになったが先ほどのMTでの加藤の「配信をやってくれ」は自分にとっては拷問に近かった、配信から逃げる為にアイドルになったのに配信をやるのは無理な話であの界隈には絶対戻りたくないと思っていた。

「配信卒業します」といって配信を辞めストーカー対策で事務所の寮に入りストーカー被害はなくなったが、Twitterであることないことを書かれているのを晴美は知っていた、いつか私は殺されるんではないかと思うこともあったが、自分の夢であるキラキラ系インフルエンサーは諦めたくなかった。あんな一人の為に自分の人生を狂わされるのも納得はいかなかったし、絶対あんなやつに負けるとも思いたくはなかったが配信だけは憂鬱だったので自分から発信するのが苦手な晴美が加藤に「配信だけはやりたくないです」ということも勇気がいることだった。最初のオーディションでも「配信だけはやりたくないです」と言ってこのアイドルに入ったのに配信をやらされるのは納得がいかなかった、アイドルなんてもうやめてしまおうかと思った。

そんな時に夏美が「晴美ちゃんは配信頑張らなくていいよ」って言ってくれた、晴美と夏美は配信アプリは違ったが夏美の事は知っていた、そんな人に「配信は私に任せて」と言われたら涙が出そうになったが耐えて「ありがとうございます」とだけ言って会議室を後にしたが、涙が止まらなくなった、晴美は夏美の事を尊敬していた、夏美がライブ配信をする度に見に行っていたが名前も違うし、それを本人に伝える気もなかったがそんな人から「配信は頑張らなくていいお」と言われたら泣いてしまう。一回だけ夏美も晴美の配信を見に行ったことがあるが晴美のリスナー層が悪すぎて5分くらいで出た覚えがある、一度「リスナーが苦手で配信あめたんです」と聞いたことがあって夏美は晴美に「頑張らなくていよ」という言葉をかけていた。夏美にも配信の辛さはわかる、リスナー層がきついとライバーとしてはメンタルが病むのも夏美にはわかるので、晴美には本当に無理をしないでほしかった。夏美も晴美が違うアプリでTOPライバーをしていたのは知っていたので、興味はあった。

出来ない物はやらなくていいと夏美は思った。

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