第2話

彼氏、真花まなかが隣で寝ている。

「二人とも、同棲とかお似合いだね。」

色季しきが言った。この二人とは高校からの付き合いだ。色季の父、崎さんも来る予定なのだが少し仕事が忙しく遅れるらしい。

二十歳の集いの夜に飲み会とか将来が不安だ。と崎さんが言っていたらしいが色季は「大丈夫。ちゃんとお避けの危険性については学んでるから。」ととてもフラグを立てそうな発言をしている。

「飲んだ量を量るために…」

私は真花の前髪を上げる。横棒だけが書かれている。

「正の字で書こうとしてたのに、1本目で潰れちゃって…。二人とも起きてる時に飲みたいからまだ飲んでない…。」

「でも、それ飲んでたら一緒じゃない?」

私の手元を指さす。そうだ。缶ビールなんて飲んでたら一緒だ。


「色季なら、崎さんに連れられて帰ったよ?」

目を覚ました真花にそう言った。

「そうか。なら安心だな…。」

真花はそう言うと飲みかけのプレミアムビールに手を伸ばした。

「ねぇねぇ、ジャンケンしよ?」

「ジャンケン…?」

「…罰ゲームとかあったほうがいい?」

「じゃあ、油性ペンで落書き…とか…?」


油性ペンが出なかったから取りに行っただけなのに真花がそっと眠っていた。私はバレないように前髪を上げる。

若干の罪悪感を感じて縦線をそっと引くと、すぐに筆を離して机に置いた。

「真花って軽いよね。私でも全然持ち上げれるもん。」

お姫様抱っこの体勢でベッドまで運ぶと私は少し机を整理整頓してそのまま眠りについた。

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