第31話

「逃げたりしないよ?怖いとも思ってないし。吃驚しただけ。」


「…っ!」


「ていうかあたしを自分のものにするために堕天されるとか馬鹿でしょ。」



なにやってんのトッキーと小首を傾げるあたしに、



「俺ストーカーじゃないから!」


「すとーかーって何?」


「あ…」



墓穴を掘ったと言わんばかりにトッキーは複雑そうな顔で固まっていた。



けれど逃げられるかもしれない不安からかあたしの腕は掴んだままである。



「こんなはずじゃなかったのに…っ。取り敢えず外堀から埋めて怖がられても拒まれても強制的に生かすことを優先しただけで…。あとはちょっとずつ口説いていくつもりだったのに…っ!」



まさか闇人形の性質がこんな形で発揮されるとは思わなかったと、トッキーが沈んだ顔をするのだ。



この人、見た目は彫刻のように綺麗な顔してるし、ミステリアスで優しげな雰囲気だったのに。

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