第30話

わざわざ主人のいないあたしのご主人様ポジションをサラッと奪って契約という束縛まで。



そこまで考えた時、契約したという意識をちゃんとしたからなのか闇人形としての性質も相まって…、



「え、あたしのこと最初から知ってて近づいたの?!」



吃驚したあたしの目の前ではあたしより吃驚しているトッキーがいた。



「なんで…!」


「ご主人様の考えやして欲しいことがわかるのが闇人形だからでは?」



キョトンとするあたしにトッキーは想定外だと顔面に書いてあたしを凝視してくるのだ。



そしてハッとするなりあたしの腕を掴んできて、必死な顔を見せてきた。



意味のわからない行動だと思うよね?

あたしもきっと契約がなかったらわからなかった。



でも言葉がなくても今のあたしにはご主人様であるトッキーの何もかもが伝わってくるのだ。



トッキーは契約したことで隠したかったあたしへの気持ちや、あたしに執着する理由を全て読まれたことに恐怖したらしい。

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