第4話

銃で頭を撃ち抜いても、高層ビルから飛び降りても、溺死しようと水に飛び込んでも死ねなかった。



だから消えることを望んであてもなく彷徨っていたのだ。



信じられない気持ちで声のトーンが上がるあたしに、けれどその男は頷くものの、



「でも俺には君の望みを叶えてやる義理なんかない。」


「…っなんでもするから!なにをすればいいのっ?」



縋り付く相手が何者なのかも知らないでこんなこと言うもんじゃない。



でもその頃のあたしは無知すぎて、目の前の男が救世主に見えていたのだ。



なんでもする、なんて…簡単に言っちゃダメだったのに。



けれどその男はゆるく笑ってあたしの頬を撫で、簡単な条件を提示してきた。



「君が欲しい。」



そう、その時までは簡単だと思っていた。



「あたし?」


「そう。」


「そんな簡単なことでいいなら…。ていうかこんな身体どうしてくれようが構わないわ。」


「…。」


「?」

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