被害者

@chikuwa0

前日準備

 いつものように朝がやってきた。今日はどんな日になるのだろう。いつものような毎日になるのだろうか。それとも、なにかいつもの生活とは違う出来事が起こるのだろうか。いまの僕はまだそれを知らない。というか誰も知らないことだと思う。

 なにか大きな事件や災害、自分にとって不幸なことが起こるのかもしれない。だから僕は考えた。1日1日が僕にとって幸せになるようにできないかとね。すごく幼稚な考えだと僕でもわかる。でもそれが僕にできる最適な考えなんだ。でも、1つだけ言わせてほしいことがある。


「僕は被害者」だとね。



「あーあ、またやっちまったよ」

「でもまあいいだろ、こぜんいつのことなんだから」

「でもこういうの先生とかにチクられたらだるくね?」

「いいよいいよ。チクったらチクったでおれこいつの家知ってっから燃やすなり、なんなりできるぜ」

「いいねー。さすが啓介はやることがちげーぜ」

「まあな。でもお前も大概だけどな。翔太」

「お前みたいに血が出るまで人を殴ったことはねーよ。俺でもさすがに引いたぜ」

「そうか?俺は別にこいつがどうなってもどうでもいいけどな」


 痛い、辛い、苦しい。手や足の感覚はほぼなくまともに立ち上がることすらできない。とりあえず水で洗おう。僕は今できる最適な選択をとるまでだ。でも、いつからだろうかこんなことをされるようになったのは。いくらの僕でも、痛いものは痛い。人間に痛覚が存在しなかったらどうなるのだろうかと最近は考えるようになった。怪我や病気に気づかないなどの欠点はあっても正直言って今の僕には不要なことだらけだ。でも、「痛み」を感じても僕の計画が崩れることはない。「最適」を尽くすまでだ。


 帰りのチャイムが学校に響き渡る。教室や廊下で響き渡る声、足音。この「音」も明日には聞こえなくなるだろう。正直言って悲しい気持ちなど微塵もない。やっと地獄から解放される。ああ、明日が待ち遠しくて仕方がない。この「音」や「痛み」からようやく解放されるのだ。明日は朝が早い。寝付けなくなっても困るし、今日はいつもより早く寝ておこう。


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