第19話 髪がサラサラ
金曜日
私は思わず、向こうを向いて寝ている夫の髪に無断で触れてしまった。
「んー、おはよう。唯芽。どうしたんだい?」
夫は目を擦りながらこちらに寝返りを打つ。
「おはよう。起こしてしまってごめんなさい。あなたの髪がサラサラでつい触ってしまったの。」
ヘアケアの効果が絶大でつい確かめたくなってしまったのだが、私だったらされたら絶対嫌な事だ。
「ではこれからもサラサラを保ちたいものだ。」
起こしてしまった事にしょんぼりした私を笑った。ゆくっくり眠るのを邪魔されたというのに怒ってはいない様だ。
「またこの前のヘアケア?それを頼むよ。」
「まかせて。」
夫はご機嫌で会社に出掛けていった。寛大である。
髪のサラサラを保つには朝起きた時と寝る前に治癒をした方が良いだろうか。
今日は早速フリマアプリに登録して、他の人の価格を参考に少し安めに出品してみた。値切り交渉などされるのが苦手なので、交渉不可即決のみにした。強気すぎかも知れないが、私の豆腐メンタルでは威圧感のあるコメントに耐えられる自信がない。
売れなかったらその時はまた考えよう。
服だけではなくインテリアとしてあの石鹸も。タンスに入れて香りを楽しんだり、部屋に飾ったりする用途だ。
錬金調薬で、高級感ある香りにした。香りは買わないと分からないのだけれど。
明日から息子が家に居るので、ご飯の材料が必要だ。
そのためには今日は買い物に行く。行くったら行く!
なんたって私には強靭な肉体があるのだ。雨が降っていても徒歩で傘さして買い物に行ける!
結論として、余裕でした。水魔法があるから濡れない様に気を付ける事もできるし、服に付いた水分を集めて収納する事もできる。いつの間にか水魔法の精度も随分と上がったものだ。これも上がった器用さが関係しているのか?
念願の牛肉を買いました!先日は鶏胸肉で失敗したので鶏もも肉も大量に!お魚も、野菜もたくさん。野菜の種も買いました。
雨が止んだら聖域を広げたい。
今日は牛肉時雨煮と、小松菜と厚揚げの炊いたん…まあ、世間的には煮浸しの事。
炊いたんというのは私の地元の方言で、炊いたやつみたいな意味である。全国的にも通じるのかは不明だけれど、インターネットではレシピ名として出てくる。焼いたんだと焼き物なのに「行ったん」だと行ってきたみたいなニュアンスになるのが謎である。何々「の」と何処そこ「に」の違いだろうか。
炊いたんは京料理の名前みたいに扱われているけれど、私にとっては普通に煮浸しだ。なんなら煮物も含まれると思う。こちらに住むご年配の方は、煮る事を炊くと言う事があるのだ。私は普段は絶対言わないけれど、実はタイタンみたいで一度言ってみたかっただけなのだ。タイタンって強そうなのに可愛い響きなのだ。
はい。異世界の聖域は今日もザザ降り。異常気象かな?それとも雨季的なやつか?時間帯かも知れない。雨は必要なものだから結界も素通りしてしまうらしい。
私の居るスペースにはもう少し高さをつけました。
そして無魔法で傘を作ってみた。
今頭の上に浮いています。パンを焼きたいのだけれど、いつものスペースから窯までが若干遠い。
土魔法で渡り廊下を設置しながら窯のところまで歩く。薬草は完全に水に沈んでいるな。この雨が止んだらまた外に出なくちゃいけないかも知れない。今や薬草がない生活など考えられないのだ。
湿気た薪の水分を抜いて、窯の湿気も飛ばし、家で仕込んできたパンセットして焼く。
隣の燻製器の最上段には塩抜きして茹でたサラダチキンをその下に鶏皮を。鶏皮は塩漬けして茹でて伸ばして水分を抜いて形をキープしてある。
鶏皮の燻製は場所を取るのに量ができないので
大きな燻製器でないとできない。
「待ってる間またあっちに戻るの面倒臭いな。
魔力が満ちてるんだから一瞬であっちに渡れないかな。」
その瞬間目の前の景色が変わる。
「は?!」
私は転移魔法を覚えたらしい。
名前 久我 唯芽 くが ゆめ
レベル16
HP 284
MP 964
力 137
体力 142
素早さ 86
器用さ 347
魔力 482
運 34
常時発動スキル
スキル習得率アップ 気配察知
任意発動スキル
アイテムボックス
鑑定 浄化 解体 錬金術 調薬 木工 服飾 鍛治
料理
身体強化
魔力感知 魔力操作 素材操作
土魔法 水魔法 火魔法 風魔法 無魔法
光魔法 治癒魔法 結界魔法 転移魔法
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