第4話 めくるめくアジ

 またまた来ました異世界!

昨日の掃除で随分スッキリした聖域を見渡した。この柵で囲まれた部分は安全地帯の様なものらしい。私は眠っている時間まで使える様になった喜びを噛み締める。


 まずはテーブルに非常用ポリタンクいっぱいに入れた水を置いた。まだ少しがたつきはあるが昨日夢中になってしまった反省もあり、今日は作り直しはしない。カセットコンロと鍋で湯を沸かし、採ってあった薬草と魔力草を洗ってティーポットに入れたらお湯を注ぐ。

 出来上がったフレッシュハーブティーをカップにそそぎゆっくりと椅子に座った。一口飲むと気分が落ち着く。

 

「さて、始めるか!」

  

 ここで料理をすれば時間が増えるし、もしかして料理スキルを習得すれば、凄い専門的な料理が作れる様になるかも知れない!まさしく一石二鳥である。

 私は張り切って腕まくりをし「消毒♪消毒♪」と歌いながらアルコールスプレーをテーブルに吹きかけていく。

 まな板と包丁とバットを置き、買いっぱなしでアイテムボックスに突っ込んであった鯵を次々まな板に置いてさばいていく。まずはぜいごを取り、何の料理にも使える様に、お腹を出して形のままのものと、開いた物、三枚おろしといろんなパターンでどんどんさばく。

 鑑定でちょっと古いと出た魚なのに買いすぎたなと少し後悔しながらも慣れてきて捌く手つきがどんどん早くなってきて、しまいには手を触れる前に三枚におろされた。

 

「んな訳あるかァァ!」


 私は息を整え、まずゴミをゴミ袋に入れ、鯵を収納するとポリタンクの水で手を洗った。

 

「落ち着け私……」

 

 ガッカリだ。料理が自動で発動するタイプなら私には意味のない全く使えないスキルになってしまう。料理は毎日の私の楽しみだからだ。

 

 他の趣味はする暇が無くても、家事であるという理由だけで料理の時間だけは必ず確保される。私は1日の中でその時間を何より楽しみにしているのだ。

 

 これが一瞬で終わるなんて事になれば、自由時間と家事との線引きができない主婦というこの立場、ついダラダラと空いた時間で何か雑用をしてしまうに違いないのだ。

 

 私は冷めたハーブティーを一口含み、一息ついてから意を決してステータスを開き、確認した。

 なんと少しずつ上がっている数値、昨日覚えたスキルの他には……


 錬金術 浄化 解体 水魔法 火魔法の文字


「勝つる!!!」


 私はテーブルや魚の血がこぼれた地面に浄化をかけてその効果に満足すると、次はひとしきり水魔法の練習をした。ポリタンクから水を出し、土魔法を覚えた時の様に形を変えたりチェーンソーの様に回転させてヒャッハーしていると気が遠くなって……


 水遊びをしていたのに目が覚めたら体は濡れてはいない。何だかよく分からないが私の尊厳は守られた。

 

 

 名前 久我 唯芽 くが ゆめ

 レベル1

 HP 32

 MP 64

 力 12

 体力 17

 素早さ 9

 器用さ 30

 魔力 32

 運 18

 

スキル習得率アップ アイテムボックス 

 鑑定

 錬金術 浄化 解体 

 土魔法 水魔法 火魔法


⭐︎⭐︎⭐︎

少し短めです。

主人公の言動が幼かったり言動がコロコロ変わる事を気になってしまう方も多いかも知れませんが今はご容赦下さい。その為に年齢を若くしようかとも考えたのですが、ストーリー上息子を大学生にしたかったのでアラフォーのままいくことにしました。

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