#5 はじまりの奈落 B1F-大穴-
<前回まで>
職業考察をしながら
未来の自分から見ればまだまだ課題の多い布陣だが、当時の自分は鼻息荒くダンジョンに向かって行くのだった。
前衛:ゲルルフ ・主人公 ・クラリーサ
後衛:マリアンヌ・フィリプ・オフェーリア
――――
ダンジョンを潜り始めてわかったことがある。
多くの敵は地図上に表示されるが、「表示されない敵」も存在していること。そして、そうやって隠れていた敵になぶり殺されるのが、冒険者の運命なのだということを。
はじまりの奈落 B1F-大穴-に潜ること既に5回目。
私はダンジョンを恐る恐る進んでいた。
調子に乗って奥に進んで殺されること既に2回。
主な敵はゴブリンと、その上位種である大型ゴブリン。
大型ゴブリンの攻撃が、前衛たちのHPをやすやすと削っていくのだ。
知らない間に仲間になっていたNPCアルバーノとともに、実質7人パーティでの冒険なのだが、まだ最初のダンジョンの地下1階に過ぎないというのに、もう涙目である。
ダンジョンは恐ろしいが、楽しいこともあった。
まず、骨拾いの男に出会うことができたこと。
彼は冒険者の骨を1000Gで売ってくれる。
そのときはたまたま持っていたため、ありがたく買うことができた。
もしかして、ダンジョンにたまに出現するのだろうか。
お金をある程度確保した状態で探索するのがよさそうだ。
アルバーノは国王救出隊の一員なのだが、冒険者に対して厳しい。
というか、冒険者を嫌っている。めちゃくちゃ言ってくる。
(コイツ、ダンジョンに置き去りにしてぇな……)
そう思うことしばしである。
さて、よかったこともうひとつ目。
ハーケンの発見だ。
ハーケンというのは要するに、ダンジョンの中にあるワープポイントだ。
街の外からハーケンをめがけてワープすることができるし、ダンジョンの中から街へひとっとびもできる。
実に爽快!
これまでわざわざ街とダンジョンの往復をするために入り口付近を行ったり来たりしなければならなかったし、ハーケンの場所へ着く頃にはHPもギリギリでそれ以上の冒険も厳しい状態だった。
それが一気に解決した。
ハーケンは壊れた状態で発見されるのだが、主人公の右腕の「逆転」の力によって修復ができる。
恐ろしいスペックである。
そんなこんなで進んでいると、ダンジョンの中で他の冒険者に出会うこともある。ダンジョンに入ってテンションが上がっているやつ、仲間とはぐれてしまったやつなど、無謀な冒険者たちの姿を見ることができる。
けれど、まさかダンジョンの中で死体で発見することすらあるとは思ってもみなかった。さっきであったばかりのやつが、道端に死体で転がっているのを見ると、ゲームとはいえ少し心が痛む。
するとそのとき――。
なにやら「知識」を獲得した。
★☆☆
「はじまりの奈落B1Fにいた冒険者は、仲間の2人を奈落で失った。彼は仲間のギルド証を回収しに行き、自らも命を落とした。」
ん?
なんだこれ。
出来事を記録する機能か何かだろうか。
★☆☆というのも謎だ。
レアリティなのか、難易度なのか。
まあ、いろいろなゲームでTipsを獲得するというのは定番なので、そこまで気にする必要はないかもしれない。
そしてついにたどり着いた、B1Fの最深部。おそらくもうすぐ階段だ。いよいよ次のフロアに行けると思ったその時――突然襲い掛かってきた「異形」によって部隊の一部が犠牲になってしまう。
忘れていた。
これはウィザードリィ。
平気で仲間も死んでしまう、そんなゲームだということを。
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