#6 はじまりの奈落 B2F-聖堂-

<前回まで>

何度も死にながらB1Fをようやく通過した。

死にゆく騎士団の面々を横目に、さらに地下へ――。


前衛:ゲルルフ ・主人公 ・クラリーサ

後衛:マリアンヌ・フィリプ・オフェーリア


――――


まただ。

B2Fに足を踏み入れた私は、冒険者の死体に再会する。

彼はB1Fで出会った男。


再び「知識」を得る。


《新参冒険者の末路》――――

★☆☆

はじまりの奈落B1Fにいた新参冒険者は、勇気を出して奈落に挑みB2Fで命を落とした。

――――――――――――――


これは、いったい何なんだろうか。

わからないが、目の前の敵を倒すことしかいまの自分にはできない。


そして私は、この階でどん詰まることになる。


「はっ?」


B2Fの何でもない敵に、パーティは全滅させられた。

異様に攻撃力が高い。


B1Fと同じ気持ちでようようとダンジョン探索をしていたら、自分の前衛たちがまるで紙装甲みたいにぺしゃんこにされた。


1戦1戦が死闘。

あの、このダンジョンの名前「はじまりの奈落」なんですけど合ってます?


ということで、しばらくレベルアップにまずは励むことになった。

ちょうどいいのはB2F右側に出現する敵。

ダンジョンを出なくても何度もリポップする上、経験値も多い。


経験値稼ぎをしながら、これから先のパーティ構想を練る。

この間、拾ったガラクタから弓を拾っていた。

弓といえば盗賊ってことでフィリプに渡した。


問題なのは、通常の敵ももちろんだがその先。

細い通路の先で待っている、人間が複数合成されたような異形が通路を塞いでいるのだ。


底知れぬHP、驚異的な攻撃力。

こちらの攻撃は全然聞いてる感じのしない手ごたえ。


さて、と街に戻ってから各施設を順々に見ることにする。


◆宿屋

 エコノミーしか使ったことはない。スイートやロイヤルスイートだとパラメーターがバフされる、みたいなことはないだろうか。一度、泊まってみるのもいいかもしれない。


◆冒険者ギルド

 酒場も内包されたやさぐれたちのたまり場。ログインボーナスを受け取ったりするが……。


(未来の自分では「派遣」を使ったり「依頼」をこなしてお金を稼ぐなどが選択肢に上がるが、当時はそもそもそんな存在があっただろうか……と記憶にないくらいだ)


◆宝石商

 毎日ちょっとだけ無料石を受け取るくらいしか使ったことはなかったが、そろそろ使いどころだろうか。


◆道具屋

 見たところ、購入できる武器もあるようだ。だが、高いな……。薬草じゃ全然回復が間に合わないから、まだ使いどころじゃない気がする。


◆鍛冶屋

 うーん、装備品を強化できるが、正直いま持っている武器を強化する気にはなれない。きっと使い捨てるだろうし。ただ、装備から装備へ継承するシステムがあるようなので、本当に行き詰ったときは使うのも手だろう。


◆廃屋

 やはり、ここに解決を求めることになるのか。

 

前衛:ゲルルフ ・主人公 ・クラリーサ

後衛:マリアンヌ・フィリプ・オフェーリア


 いまのパーティはこうなっているが、B2Fの「ごちゃまぜの異形」に勝つにはそもそも火力が足りない。それに前衛がすぐに削られてしまう。まっさきに外すのは「フィリプ」だ。盗賊だが、戦闘では火力不足。次が「オフィーリア」か。後ろから戦士に矢を射かけてもらってもそれを待っている間に前衛が消し飛ぶ。そもそも、「ごちゃまぜの異形」は防御力が高い。となると――

 

前衛:ゲルルフ ・主人公 ・クラリーサ

後衛:マリアンヌ・魔術師 ・魔術師


一度、この構成を試してみるか。


仲間の魔術師には、ネームドキャラクターとして「ヤルミル」がいる。

他には名無しの冒険者がいるけれど、育てるには頼りない。


もう少しだけ、逆転ガチャしておくべきか……?

廃屋の中で、右腕を見つめる。
















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ウィザードリィ・ダフネで死にかける40歳会社員 20年後にVTuberデビューする40歳 @2044debut

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