林間学校編
第31話 林間学校
父さんの術式――”闇”。
いったいどういう異能なのか
見せてもらうことになった。
と言っても
基本は俺の”影”と変わらないようだ。
幻獣の生成、斬撃、目くらまし。
俺の”影”と違うところは
二次元的でなく、煙のような
形状であることだろうか。
ともあれその戦術は
大いに真似ができそうだ。
家にいる間は教えてもらうことになった。
さて、そうこうしている間に
林間学校の時期になってきた。
再び、幻影学園へと向かう。
ぶっちゃけ普段の学園生活が
林間学校だと思うが……。
「おにたん行ってらっしゃい~~」
「早めに帰ってきなさい」
「お土産、期待してますからね」
……と、妹と母さん
そして八雲に見送られ
再び幻影学園へ。
校庭には普段の生徒達が
集まってきている。
中等部、高等部の
上級生たちもだ。
「やぁやぁ、皆よく集まってくれた
林間学校では樹海の中での
サバイバルを行ってもらう!!」
理事長が演説台に立って
なにやらとんでもないことを
言っている。
サバイバルだって?
「サバイバルをしながら
幻獣を斃してもらうぞ!!
まぁ襲ってくるんだけどね
無事生き残ってくれ!!
リタイアするときは
近くのカラスが判断するから
大丈夫だよ!!」
相変わらず
理事長の術式は
便利だな……
ともあれ、俺は
武器研究会の面々と
林間学校に挑むことになった。
他の生徒も部活やサークルに分かれて
挑戦するらしい。
「ひさしぶりね、珀斗!」
「う、うん……」
ジャージ姿の夏芽と冬見が
話しかけてきてくれた。
ちょっと背が伸びたか?
気のせいかも。
「休みの間は
なにをしてたの?」
「ああ、術式の鍛錬をしたり
許嫁に会ったりしてた」
「あんた許嫁がいるの!?」
夏芽と冬見が驚いた表情になる。
俺も驚いたけど
ちゃんとした家ならまぁいるだろ。
俺のところなんて名家らしいし。
「おまえらはいないのか?」
「わ、私の家小さいから……」
「私の家は下手に許嫁決めるより
いい婿探してこい、って方針なのよ」
「へぇ~~~」
許嫁事情も色々あるんだな。
まぁ、でも恋愛結婚とか
俺には難しそうだし、
許嫁はいてもらったほうが
いいかもしれない。
可愛かったしな!!
「まぁ幻術師は
別に妾さんとか
作ってもいいと思うけど」
「う、うん。
幻術師は希少だし」
夏芽がぼそっと呟いた意見に
冬見がブンブンと頭を縦に振る。
「いや無理だろ。
俺そんな甲斐性ないし」
「そんなの後からでも
いくらでもつくわよ」
「そもそもそんなに
相手いねぇよ」
「で、できるかも
しれないじゃない!!」
「う、うん!!」
…………なんでこんなに
二人が必死なんだろうか。
まぁ、幻術師って
数が少ないから
許嫁が決まってないと
大変なのかもな……。
「おう、いつも通り仲いいのぅ」
……などと話していると
安藤先生――おっさんが
話しかけてきた。
「そういえばおっさんは
もう結婚してるのか?」
「うるさいわマセガキども」
…………してなさそうだった。
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