帰省編
第27話 久しぶりの帰省
「珀斗さま!! お帰りなさいませ!!」
そう言って家に帰ってきた瞬間、
抱きついてきたのは八雲。
三ヶ月ぐらい
いなかっただけなのに大げさだな……。
ここは──鍛錬場か。
落ち着いた雰囲気は相変わらずだ。
「おかえり、珀斗」
「おにたんおかえり~~!」
矢継早に母、
そして妹がやってきた。
妹は八雲をおしのけて
俺に飛びついてくる。
なんとかそれを抱きとめた。
それを見て母さんと
八雲はふふっと笑っている。
「父さんは?」
「ああ、任務よ」
「相変わらず大変そうだな……」
母さんが答えてくれた。
仕方ない。
この国に7人しかいない特等なのだから。
きっと引っ張りだこのはずだ。
「お疲れでしょう。
ひとまず自室でくつろいでください」
「ああ、ありがとう八雲」
言われて俺は自室へと向かう。
その日の夕食は豪華だった。
八雲が腕によりをかけて
作ったという感じだ。
特にとんかつが美味い。
「そういえば珀斗。友達は出来たの?」
「ああ、夏芽に冬見っていうのが……」
「女の子の名前に聞こえますね」
じと……と女性陣の顔が険しくなった。
妹の理奈だけが美味しそうに
食事をしている。
そういえば幻力、だいぶ成長したな。
俺ほどじゃないが、
一等ぐらいにはなれそうだ。
「な、なんか女友達がいると
まずかった……?」
「言っていなかったけれど
貴方には許嫁がいるの」
「ええ!?」
別に夏芽や冬見と
そういう関係に
なるつもりはなかったが
許嫁がいるとは驚いた。
「今度会わせませんか?
余計な虫がつかないうちに」
「そうね、今度会ってもらいましょう」
「ずいぶん急だな……」
別に7歳の内から
そんなこと気にしないでいいと思うが
女性陣の考えてることはわからん。
「というかその許嫁って
幻影学園には通ってないの?」
「術式を満足に
扱えるようになってから
行く人もいるんですよ」
「お家に籠もってる子もいるわね
私もそうだったし」
なるほど、じゃあ会ってないのか。
貴重な学校に通わないとは……。
幻術師なんて外出の機会がないだろうに。
「それじゃあ向こうと連絡しておきますね」
「ええ、任せたわよ八雲」
「そんな急がなくても……」
再び女性陣がじっ……とこちらを見る。
もしかしてモテると
思われてるのだろうか、俺。
しょうがないなぁ……。
これも名家に生まれた宿命って
やつかもしれない。
許嫁、どんな子だろう。
可愛いといいけれど……。
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