第17話 VS前世の仇

 夏芽の攻撃を巨漢の男が防ぐ。

 しかしそこは夏芽、俺より高い身体強化で

 負けるわけがない。


「ぬぅ……!?」


 すかさず回し蹴りを食らわせ、

 巨漢の脚をへし折ると、

 そのままもう一撃腹部に拳を食らわせる。


「ガァ……!?」


 嘔吐する巨漢。

 そのゲロを夏芽はひらりと避けた。

 ガキだと思って舐めたのが

 良くなかったな!!


「アニキィ!?」


 もう一人の金髪が

 近くのシャボン玉を掴むと

 そのシャボン玉がナイフになった。


 そのまま夏芽に斬りかかろうとする。

 あの空気砲では巨漢を巻き込むと考えたのだろう。


 だがそれを黙って見ている俺ではない。

 近づいて──黒孔雀で斬る!!


「チィッ!?」


 ナイフでそれをなんとか防ぐ金髪。

 一応こっちも剣術とか学んでるんだがな……!!


 黒孔雀から影を吹き出し、斬撃の威力を上げる。

 するとナイフごと金髪を袈裟斬りに出来た。


「ガァアアアアアアア!?」


 しかし浅い。

 絶命するには至らないだろう。

 とっさに金髪が傷口を抑えるが──。


 次の瞬間には夏芽の

 蹴りを頭部に食らって、気絶した。


「すまないな、夏芽」

「そこはありがとう、でしょ?」


 夏芽のウィンク。

 さて、後は炎の男だが──。


 ボォン、とボウリング城のレーンが爆散した。

 おっさんが吹き飛ばされたのだ。


「いたた……」


 まだまだ余裕そうではあるが苦戦しているっぽい。

 仕方ない、援護してやるか。


 あの炎の男──、前世の俺の仇でもあるしな。

 ボウッ、と男は降魔刀から炎の龍を出している。

 どうやらパワーアップしているとは本当のようだ。


「ハハハ!! ガキどもに

 やられるとは情けねぇな、お前ら!!」


「下がってろ、夏芽」

「え、でも……」


「素手じゃ厳しいだろ

 おっさんを治療してくれ」


 黒孔雀から影を吹き出す。

 次の瞬間、俺達は

 弾けるように鍔迫りあっていた。


「ガキのくせにやるじゃねぇか!!」

「テメェはずいぶん前から大して変わらないな!」

「ああ!?」


 降魔刀の炎は黒孔雀の影が吸収してくれる。

 そこまで脅威じゃない。

 後は剣の腕だけだ。


 一旦、間が開く。

 その隙を欠かさず──。


「飛天!!」

「灼解!!」


 向こうも炎の斬撃を飛ばしてきて

 影の斬撃と打ち合う。


 結局、影が全てを吸収し

 飛天が男に飛んでいくが

 それも容易く避けてしまった。


 遠距離は不利と睨んだのか

 足元を爆発させて

 凄まじい速度で近づいてくる。


 迫真の突き。

 俺は黒孔雀を構え


 それに合わせる形で

 相手の腹部に打ち込んだ。


 上半身と下半身が真っ二つになる男。

 降魔刀の余波かわからないが、そのまま爆散する。

 前世の俺、仇はとったぜ。


 燃え盛るボウリング場。


 気絶している連中を

 理事長のカラスが回収していた。

 転移って本当便利だよな。


「ワイらも帰るで

 よくやったふたりとも。

 情けないとこ見せてもうたな」


「いや助かりましたよ」

「あいつは倒してほしかったけどね」


 カラスの羽が集まり

 一つのサークルの完成する。


 俺たちがそこに飛び込むと、

 次の瞬間にはいつもの校庭に戻っていた。








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