第9話 夏芽視点
あれから何週間かが
経過したけれど……。
まったくもって……。
やなやつやなやつ
やなやつやなやつ!!
やなやつだけど……
認めざるを得ない……!!
周防珀斗!!
白髪混じりの黒髪で
まぁ……ちょっとかっこよくて
特等で私よりもちょっと
強いからって調子に乗って!!
数少ない同級生の中でも
なんだか人気だし!!
私が最初に
話したんじゃないの!?
じゃあ私を
一番に優先するべきよね!?
別に他のやつを
優先しているようには
見えないけど……。
っていうかマイペース
すぎるのよねあいつ。
隙あらばコンビニで買い食い。
そして漫画読んでる。
「ゲームもあったらなぁ~~」
とか言ってるけど
私たち幻術師に遊ぶ時間なんてない
特等のくせに呑気すぎるのよ!
かといって修行が
嫌いな訳ではないみたい。
この間も先輩に
剣術を教えてもらっていた。
他にも術式の研究に詳しい
先輩にしょっちゅう話を聞いてる。
最近はお得意の”影”で
幻獣を作り出す訓練をしているみたいね。
同級生の女の子は
皆あいつに夢中っての言うのが
めちゃくちゃムカツく!!
そのくせ、女の子に興味とか
ないみたいだし……!!
むぅううううう!!
「決闘よ!! 決闘しましょう!!」
「またそれかよ……」
昼休み、食堂で
ラーメンを啜っていた
珀斗に決闘を申し込んでやったわ。
こいつ友だちが多いくせに
一人でいる時間が好きみたいなのよね。
よくよく観察してれば
一人になる時間を
把握するのなんて簡単だわ!!
「ええ、入学の時の
幻獣狩りはたまたまあんたの
運が良かっただけよ!!」
「決闘って言ってもなぁ……
あ、そうだ。今度課外学習があるじゃん?
ペアになってやるやつ」
「ああ、会ったわね」
「一緒に行こうぜ」
「え!? わ、私でいいの!?」
「だってクラスメイトの中じゃ
現状おまえが一番強いし……
それにどんな術式かもわかってるしさ」
「言った覚えないけど!?
どんな術式っていうのよ!」
「多分……身体強化系だろ?
つれていくなら
おまえかなぁ、と思ってさ」
…………そんなことを
恥ずかしげもなくヘラヘラと話す。
こいつ、本当調子狂う!!
「いいわよ、じゃあどちらが
いい成績出したかで勝負ね!!」
「いや競い合うのは良くない
肝心なところで足を引っ張り兼ねない」
「むっ……それもそうね」
「決闘はまた今度やろうぜ」
「ふん、いいわよ。
私を誘ったこと
後悔させてあげるんだから!」
「いや後悔させちゃダメだろ……」
「首を洗って待ってなさい!!」
そう言って、私は
食堂を飛び出していった。
ニヤニヤしている顔を
見られたくなかったからだ。
私が一番強い!?
誘うなら私!?
本当にそう思ってるのかなぁ!?
へへ、えへへへ……。
よぉし、頑張るぞー!!
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