第4話 猫、アイツを忘れる

 猫はユニアルの行動を見て歓喜した。

『やるじゃねぇか! あれはオレと出会った時にやった技だな』

 ユニアルがカンジの周りを回る。猫はそれを見続ける。無意識に姿勢が低くなり、お尻を前後に揺らし始める。

 飛びかかるタイミングを見計らっていた。目がユニアルを追いかけ、逃がすものかと視線は鋭くなっていく。自然と尻尾を振って音頭を取っていた。

 猫は走り出した。ユニアルに飛びかかる。くるくると回り続けるユニアルに噛みつき、爪で引っ掻く。ユニアルは叫び声も上げなければ、動きを止める事もなかった。何事もないようにやはり周り続ける。

『ハッ。オレはなにを……』

 猫は意識を取り戻した。ユニアルの体に当てていた歯を離して頭を振る。

 ふと、景色が勝手に変わっていくのに気づく。

『オレは座っているだけなのに、なぜ周りが動いている?』

 猫は疑問を口にした。下から聞き覚えのある音が鳴り、気付く。猫は自分がユニアルの上に乗っていた事に気づく。

『おお! なんでお前がここにいるんだ!』

 猫は慌ててユニアルから飛び降りた。

 上から笑い声が降ってきた。見上げるとカンジがこちらを見て微笑んでいる。腹は立ったがどうすればいいのかわからない。猫は少し離れたところに座ると毛繕いを始めた。

『アイツが出て行く気配がない。舎弟を使ってもアイツは追い出せないのか』

 猫は毛繕いをやめてユニアルに声を掛ける。

『おい、もう止まっていいぞ』

《ゴミガ落チテイマス》

 ユニアルはカンジの周りを回り続けた。

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