第2話 猫、お掃除ロボットと出会う
「ただいまー」
自身が住む1Kのアパートに帰ってきたユイカは真っ暗な部屋の中に向かって声をかけた。部屋の奥から2つの丸い光が現れ、それは俊敏に闇から飛び出した。
『にゃーお』
茶色、黒、白の斑らに染まった毛を持つ猫。お帰り、とでも言うように優しく鳴く。頭をユイカの足に何度も擦りつける。
「ただいま。大人しくしてた?」
『にゃう』
「そっか。よしよし」
ユイカはひとしきり猫の頭を撫でると部屋の奥に進み電気を点けた。
「見て! 買っちゃった!」
満面の笑みでユニアルの入った箱を猫に見せつける。サンタクロースにプレゼントを貰った子供のようにはしゃいでいた。猫は首を傾げ小さく唸る。
ユイカは口角を上げたまま箱を丁寧に開けていく。猫はユイカの腕の間から顔を出し、じっと箱の中を覗き込んでいた。箱から発泡スチロールやビニール袋、説明書が取り出され、猫はその度に視線をあっちへこっちへ移す。
箱の中から直径三十センチほどの丸く分厚い機械を取り出す。ユイカはそれを床に置くと両手を広げて紹介した。
「じゃーん。お掃除ロボットだよ。これはね、動物の言葉がわかるんだって」
ぽかんとする猫を抱き上げ、自身の頬へと引き寄せる。
「これでお喋りできるね」
嬉しそうなユイカとは裏腹に、猫は口を開けてまん丸な瞳でユイカを見つめている。何が嬉しいのかわからないようだった。
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