猫とお掃除ロボット
新谷式
第一章 猫とお掃除ロボット
第1話 飼い主、お掃除ロボットを買う
スクランブル交差点の前に建つ大きな商業ビルに大画面の液晶がある。そこには企業のコマーシャルが次々に映し出され、信号待ちで佇む人々の暇つぶしに貢献していた。
そこに最新式の掃除ロボットのコマーシャルが流れる。
《動物の言葉が理解できるお掃除ロボット!
ペットと喋りたいな、と悩んでいたあなた! この機械があれば大切なペットと会話することができますよ!
なんとこのお掃除ロボットは、動物の言葉がわかるのです!
ご使用者様とペットとの会話の通訳役にもなりますし、お宅でお留守番している大事なペットが寂しくないように会話相手になる事も可能です。
おっと、忘れてはいけない。きちんとホコリ一つ残さず吸い取ってくれる掃除機能付き。いやはや、こちらのほうがメインでしたね。
さぁ皆、掃除もしてくれてペットとの通訳もでき、ペットの話し相手にもなってくれる夢のような掃除機のご紹介です! 一台三役のお掃除ロボット!
一家に一台いかがですか?》
銘打って発売された新型掃除ロボット『ユニアル』。
ユニアルには人工知能が搭載されており学習機能もある。使用者の言葉を理解して動くし、センサーが搭載されている為、ゴミが落ちればすぐさま吸い取り部屋の中はいつでも綺麗。
そのコマーシャルが流れれば、夫婦は購入を検討し、恋人たちは同棲を決め、子供たちは欲しいのなんのと騒ぎ立てる。ユニアルは発売当初より多大な人気を誇り、売れ筋は半年経った今でもナンバーワンだ。
越谷ユイカはコマーシャルを見た瞬間に買う事を決め、すぐに家電量販店に駆け込んだ。
家電売り場にはたくさんのユニアルがあった。ユイカは値段を見て顔を顰める。思ったよりも高かった。しかし、家にいる愛猫が喜ぶ姿を頭に浮かべると買わずにはいられない
ユイカはユニアルの入った箱を持ってレジに並ぶ。購入を終えると傷の付いていない綺麗なパッケージを抱え、嬉しそうに家へと帰っていった。
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