12 『盆踊りは、地下が1番である』


 その地下に、かの、おばさまはいた。


 さすがのまやしんも、見逃さなかった。


 地上勤務3日で、まやしんは、地下に飛ばされた。


 『転勤じゃないよ。同じ支店の地下売場だからね。』


 と、店長はあっさりと言ってのけた。


 地底1500メートルのデパ地下なんて、聴いたこともない。


 普通なら、人類は生活しにくいだろうが、ここは、意外に悪くないのである。


 月人のテクニックは、さように優れていた。


 月の半径は、大雑把に、1738キロメートルある。


 『1500メートルなんて、大したことないさ。』、と、月人は言う。


 地下支店の客の80%は、月人である。


 しかし、おばさまは、明らかに地球人類である。


 と、まやしんは、見ている。


 月人なら、首にエラがあるが、おばさまには見当たらない。


 もちろん、いまどきは、手術もできるらしいが、ここにいるためにはむしろ意味がない。


 『あらま。久しぶりねぇ。』


 おばさまが言った。


 『なぜ、ここにいるのでしょうか?』


 『はあ。あなたのせいです。』


 『あらまあ。』


 おばさまが絶句した。


 『あなたこそ、なぜ、ここに?』


       😤


 そこは、地下広場である。


 いままさに、『盆踊り』=『ボロリ』が始まろうとしていたのであった。




















  

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