10 『緋色のグループは、グレーっている』
面接は、ほとんどご挨拶程度だった。
ラジオラさんは、まだ、若い。
きびきびと話が進むのである。
『で、いつから、来られますか?』
『いや、すぐにでも。』
『そら、いいですな。勤務時間の希望は?』
『寮にはいれるならば、いつでもいいです。』
『もちろん、宿舎は用意できますよ。今日から利用可能です。賃金についてのご希望は?』
『できれば、前職と同額がいいです。』
『ああ。分かりました。では、プラス50ドリムにします。交替勤務になります。1場面5時間です。あすから、勤務してください。当社では、カート整理は少ないので、主に環境整備となります。主任ロボが指導いたします。なに、簡単ですよ。』
特に、引っ掛かりはなく、あっさりと採用となった。
🙆🙆🙆🙆🙆
スローワークのおそばさんは、ひとつだけ、気になることを言っていた。
『問題になるような情報は聴いていませんよ。求人はいつも出てますね。しかし、離職が多いという話しは聞きませんな。このところ、火星にも進出しているようです。』
もっとも、現場職には、転勤はまずないと言われたから、あまり気にしてはいなかった。
それは、間違いではなかったのだが、『緋色のグループ』は、『月』の内部、というか、『月底』への進出を進めていたのである。
そこには、なぞの類人類『月底人類』が住んでいた。
それが分かったのは、20年ほど前のことだったのである。
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