9 『緋色のグループは幸福の調べか』
緋色のグループ本部は、もちろん、ムーンビッグ・モールの外にある。
ただし、ムービング・サイドパスはつながっている。
面接なんて、2度と受けたくないと思っていた。
むかしは、面接対策などということを学んだこともあったのだが、こんな年齢になり、なんの取り柄もないから、自然体で臨むしかない。
スーツは持っているが、あまり、ぱり、とはゆかない。
靴もまた、同様である。
髪の毛は、ほっとけば、ベートーヴェン・タイプになる。
まやしんは、いわゆる、落ちこぼれではあるが、一応は、大学を出ているのだが、履歴書には、そのまま書くものの、あっさりとしている。一流どころではないから、大して気にもされない。
しかし、このところ、『書物』というものは、稀少品である。
そこで、近年は、漢字は読めるがあまり書けないという人が増えている。
しかし、実際の問題は、専門家以外には、まず、ない。
学校も社会も、そのあたりは、もはや、気にしていない。
カート整理は、しかし、複雑な文字を読み取り、正しく処理してゆかねばならないのである。
つまり、各現場へは、コンピューターが送り出すが、その入り口までは、運ばなければならない。
お客さまは、好きな場所に放置するからである。
ところが、ここにきて、全自動という新システムが現れてきた。
しかし、月は、まだ、諸事情により導入が遅れていた。
まあ、あと、5年だろう。
そうしたら、まやしんは、引退し、試験を受けて、『精霊所』に送られるか、『高齢者再生施設』にゆくかの、どちらかになる。たぶん。
優秀な人には、他の途があるが、それは、天才たちだけの特権であった。
📻️
試験担当は、ラジオラさんであった。
年齢や、性別は分からない人である。
🧎♂️ハハー、ワラクシ!チキュウノウマレ。フルイヤツデスヨ。
🚈............ギフ!
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