7 『月は残酷で、無慈悲である』


 明地刑事は、般田パンダ警部に報告をしていた。


 もちろん、警部は聴取の様子を見ていたのだが。


 『まやしんは、白ですよ。ただのお人好しです。』


 『そうか? おらは、やつは、‘’橙のダイダイノ キヅナ‘’ の一員だと見ている。ただし、末端の、だろうがな。』


 『警部、そいつは、跳躍しすぎでしょう。』


 『飛躍だ。そんなことはない。』


 『なにか、証拠でも?』


 『勘だ。』


 『かんは、良く外れます。』


 『ばか。おらは、外さない。長年、外したことはない。』


 『でも前回も、冤罪でしたよ。あなたは、冤罪製造マシンと呼ばれます。まあ、大きいのに、当たるときもあります。』


 『‘’たまたまだ。‘’ おらの勘は、超勘だ。なかなか、凡人には理解しがたいのだ。行方の分からない、あの年寄りらしき女は、恐らくは、‘’橙の絆‘’の幹部だろう。つまり、‘’オレンジ・エリート・エスパー‘’である。おらの調べた範囲では、オレンジ・エリート・エスパーは、少なくとも、5人いる。アンナは、そこには当たらないが、恐らくは、‘’セカンド・オレンジ・エリート・エスパー。しなわち、OEE、または、SOEE。‘’オエー・ソエー‘’。である。連中が、よく、‘’オエー‘’ ‘’ソエー!‘’ と叫んでいるのは、そこに意味がある。』


 『聴いたことないですが。』


 『おらには聞こえるのだ。いいか、まやしんは、カートをまとめて運ぶときに、しばしば、‘’オエー!‘’ ‘’ソエー!‘’と、言っておる。』


 『それは、掛け声でしょう。』


 『いや、まあ、しろとには、理解しにくいとは思うがな、つまり、まじないみたいなものだな。』


 『警部は、恐ろしい人です。』

 

 『やっと、解ったかな。』


 『しかし、アンナはともかくも、まやしんには、陰謀に荷担しているなんの証拠もないです。長くは留められないです。また、違法行為と言われます。』


 『分かっておる。良く見ていれ。ほら。立ち上がるぞ。』


 身体が硬直したまやしんは、立ち上がって、背伸びをしようとした。


 『そえー!』


 『ほらみろ。立派な証拠だ。』



      🙆











 


 


 


 


 


 

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