第21話 1つの約束

 少し経つと、ルドが彼女に声を掛けた。


「スカウトの話、聞いてくれるかい?」


「そうだったわね、取り敢えず聞くだけ聞いてあげてもいいわ」


 ルドと俺はアイコンタクトをとって俺が話を受け継いだ。


「まず目的から話すと、単刀直入に『魔王討伐』だ」


 俺の言葉に彼女は目を見開き、妹の頭に手を置いて声を荒らげる。


「は?バカじゃないの?アタシはともかく、この子を危険な目に晒すことなんてできないわよ!」


 そりゃあそうだろう。危ない魔王討伐に自分の大切な人を向かわせたくないって気持ちはよく分かる。

 スカウトも一朝一夕とは行かないよなあ。


「分かりました。では別の人に当たりま」


「やりたいです、私!」


 え?このパターンは全く予想してなかった………


「ちょ、アンタ何言ってるのよ!危ないでしょ!」


「でも、ずっと家にいたって面白くないよ!」


「ちょっとアンタ達、そこで待っていなさい」


 彼女はそう言い放つと、妹の手を引いて少し離れた場所に歩いていった。


「二人とも引き入れられたら強力じゃろうが、身内が大事な気持ちは痛いほど分かるからのぉ………無理しなくても大丈夫なんじゃが」


「僕もその意見には同意するよ」


 ………30分後、こちらに戻ってきた赤髪の少女は渋々口を開いた。


「私は嫌だったけど、この子がどうしても行きたいっていうからついていってあげるわ」


「本当か!ありがとう!」


 俺が無意識に彼女の手を握ると、頬に強い衝撃があった。


「触るな!」


 痛ぇ………まさかビンタまでされるとは思ってなかった。

 俺が自分の頬をさすっていると、代わりにルドが質問した。


「名前を教えてくれるかい?」

 

「アタシがフランでこの子がシャルロット」


「シャルって呼んでください!」


 このシャルって子、見た目的には小5くらいなんだが大丈夫だろうか………

 しかも見た目も姉とは大きく違って茶金にくせっ毛のショート、黄色の目といった具合だ。


「で、アンタ達の名前は?」


「僕はルドシー、ルドって呼んで。この女の子がティアでお爺ちゃんがボクデン、最後に君が殴ったのがショウだよ」


 フランとシャルは俺達の顔を暫く見渡した。


「ふーん、分かったわ。パーティに入る前に1つだけ約束してくれる?そこのショウってヤツ、パーティのリーダーなんでしょ?」


 俺は立ち上がってそれに答える。


「ああ、俺にできることなら」


「そう。私がアンタに頼むのは『絶対にシャルを守ること』ってこと」


 なるほど、そういうことか。


「守るよ、絶対だ」


「絶対?」


「絶対だ!」


 俺の答えにフランはくしゃっと笑った。


「アンタ、真面目な顔できるのね。それなら魔王討伐、手伝ってあげるわ」


「ありがとう。よろしく頼むよ」

 

【フラン、シャルロットパーティ加入】

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GENESIS/UNDER the WORLD 一発当たり屋 @ippatuatariya

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