第20話 はは〜白髪の次はロリとナイスバディ姉妹でしたか


「ん?」


 俺達が空中に瞬間移動すると横からデカい拳が迫ってきていた。


「ルド!」


「分かってる!『不破盾バリア』!」


 側方に展開されたバリアは拳を弾き、無事着地に成功した。


「ははっ、鎧の攻撃に比べたら大した事ないや」


「ちょっと!なんなのアンタ達!」


 右手に杖を持った少女は、オレンジに寄った薄めの赤髪ロングに青い瞳で、まあそれはスタイルの良い女性だった。それに、彼女よりも小さい女の子も一緒にいた。


「スカウトに来たつもりだったんだがな。それよりこいつはなんだ?」


 俺は先ほどのデカい拳の持ち主に目を向ける。


「ゴーレムよ。多分ね」


 ―――まあそうだろうな。岩から掘り出したような見た目で5メートル近くあるザ・ゴーレムって感じだ。


 俺達が話しているのに構わず、ゴーレムは二度目の攻撃をしてくる。

 見た目よりも多少速いが避けるのには訳無さそうだ。

 俺はその攻撃を躱しつつパーティに問い掛ける。


「誰か決定打になりそうな攻撃を持ってるやつはいるか?俺は生憎まだ習得中でな」

 

「僕は勿論無理だね」


「………私の雷は相性悪そうだし」


「儂もこれだけ大きいと少し困るのぉ」


 やっぱりな………俺たちじゃ時間をかければ倒せる相手ではあるだろうが少し面倒くさい。


「君、いけそうか?」


 少女の杖を握る力がきゅっと強くなるのが見て分かる。


「うん、アタシの炎なら一撃でいけると思う!シャルが手伝ってくれればだけど」


 視線を向けられるシャルと呼ばれたその少女というより幼女は元気よく頷いた。


「私、お姉ちゃんのためなら手伝うよ!」


 俺は三撃目を躱して言う。

 

「じゃあそういうことで!」


「分かったわ。じゃあ少し魔力を溜める時間を頂戴」


「了解、得意分野だ。じゃあ俺とティアが攻撃で時間を稼ぐから、ルドは俺達の援護で爺さんは二人の近くで守ってくれ」


「おぅ、儂はそれだけでいいのかのぉ?」


「だって爺さんさっきはああ言ってたけど本当は倒せちゃうだろう?それだと成長にならないからさ」


 俺の言葉に爺さんは笑った。

 ―――よく笑うなあ、この人。


「ショウは慧眼じゃな。分かった、その役割は任されたわい」


「待ってください!」

 

 俺達がいざ敵に向かおうとすると、幼女が引き止めた。


「どうした?」


「援護なら私にもできます!『結界展開・強化レインフォース』!」


 彼女の声とともに、彼女の足元を中心にして魔法陣が俺達とゴーレムを囲う大きさで展開される。


「この結界の中なら、私の指定した人は強化されます。皆さん頑張ってください!」


 本当だ!心なしか全身が軽くなったような感覚がある。


「いくかティア!」


「まかせて」


 ゴーレムの口から吐き出された熱線を避け、それを皮切りに俺は加速、ティアは雷を身に纏ってヤツの左右に駆け出し、同時に腕に飛びかかる。

  

「よーいしょっと!」


 両腕をダガーと拳で傷つけられたゴーレムは足での反撃を試みる。


「『不破盾バリア』」


 ルドのバリアによってそれを防ぐと、右手からの魔力放出でカウンターを決める。

 

 俺の魔力放出を真正面から食らい、仰け反ったゴーレムの腹の前にティアが上昇する。


「おかわり」


 ティアの蹴りを食らったゴーレムは更に仰け反って隙を晒す。


「時間稼ぎご苦労さま!そこをどきなさい」


 ―――全く、人使いが荒いな。

 俺とティアは命令通り射線から退く。


「『大炎剣イグニスソード』!!」


 彼女の前に出現した炎の大剣は数メートル離れたこちらにも熱く感じるほどの熱気を放ち、無慈悲にもゴーレムに振り落とされた。


「うわ、オーバーキルだ………これ」


 目の前で燃え盛るゴーレムをみて同情さえしてしまいそうだ。


「あら、ちょっと火力を強くしすぎたかしら?」


 テヘ、みたいな感じ出してるけど怖いよ!炎ってそこまで岩に相性良くないはずなんだけどなぁ………

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