第19話 いや、別にイチャイチャしてないし
俺達はギルドに戻ると、ステータサーにカードを通した。
すると身体の中に魔力入ってくる感覚とともに青い光が纏われた。
「お、レベルが上がったみたいだな。
………これでレベル3ね。ルド達は?」
「僕もレベル3だ」
「私は5」
「儂は25」
「「「え?」」」
いや、レベル高くないか?たしか教官たちでも40とかだった気がするが………
「お、言っておらんかったか。儂は昔冒険者をやっていたんじゃが1回やめて戻ってきたという感じじゃよ」
こ、これは頼りになるな………仲間にしてよかった〜。
そして俺達は宿を見つけて中に入る。
そして各々ゆっくりとしていると、ルドからある話を受けた。
「なあショウ、パーティって何人くらいにする予定なんだい?」
「6人だよ」
これは元から決めていた事だ。今の所全員が強くなれる素質を十分に持っているし、供給過多ということはない。
「今の僕達って前衛しかいないだろう?明日も待っていたら都合よく後衛が話しかけてくれるとは限らない。だから明日はスカウトに行かないかい?」
一理ある。スカウトならしっかりと自分たちの欲しいクラスを引き入れることが出来るはずだ。
「いいと思うぜ。じゃああとはウィザードとプリーストだな」
ルドは納得の表情を浮かべた。
「そうだね、妥当だと思うよ」
「OK、じゃあ遅くなる前に寝てしまおう」
俺達は支度をして眠りについた。
――――――――――――――――
翌朝のギルドにて
俺はスカウトをするという話をティアと爺さんに告げた。
「………私もそれがいいと思う」
「儂もじゃ」
これで皆に了承がとれたな、あとは場所を決めなくては。
「ルド、スカウトってギルド内外どっちでするんだ?」
ルドはうーん、と少し考えてから言葉を発した。
「僕的には………ギルド外の草原とかかな。初日に行ったところだよ。外なら相手の実力がすぐに分かるし丁度良いんじゃないかな?」
確かに目的がクエストクリアではなく仲間を見つけるだけならそちらのほうが早そうだ。
「それで行こう、じゃあ出発!」
――――――――――――――――
「さてと、到着した。けど………」
俺は目の上に手を置いて草原一面を見渡したが、魔法職らしき人は見つからなかった。
ティアも真似して同じようにした。
「………いなさそう、だね」
「しょうがないさ、それならそれで新しい拡張を考えてたから問題ないよ」
「げ、君まだ新しい拡張を思いついたのかい?」
「そんな驚くこともないだろう、ルドのバリアだって拡張しやすい部類じゃないか?」
俺の言葉にルドは苦い顔をした。
「それ、嫌味で言っているのかい?僕のは逆に練度が強さに直結する方だろう」
あれ、嫌味のつもりはなかったんだがな………
「本気だよ。出力するバリアの形を変更できればいくらでも万能な武器になりそうじゃないか」
俺のアイデアを聞いたルドは意表を突かれたようだったがその顔は明るかった。
「その発想は意外と新しいかも、今度試してみよう!」
「ならばよし!で、今回は俺の拡張についてだが、そのテーマは『減速とアウトプット』だ」
「アウトプットというと、加速や減速を自分以外に付与する、いわゆる強化・弱体化にあたるもののことかのぉ?」
爺さんの言葉に俺は指を鳴らす。
「その通り!経験の差か、流石に鋭いな!発想の元が同じだから減速は多分今すぐにでもできるはずだ。まずはそっちからやってみよう」
まずは減速するのが分かりやすいように加速して、っと
「『
―――OK、じゃあこのまま走ってみようか。
地面を蹴ってその反動で走り出す。
―――加速は完了、あとは減速するだけ!
俺は頭の中のイメージを魔力とともに全身に送り出す。
「『
瞬間、身体が重くなる感覚があった。
―――おおお!スゲェ!走っても全然動かなくなったぞ!
俺は減速を解除してルド達のもとに戻る。
「減速は成功したよ、あとはアウトプットをしてみる。こっちは加速のアウトプットからかな」
するとこちらをじーっと見つめていたティアがこぼすように言った。
「………凄いね、ショウ」
「そ、そうかな?真正面から言われるとちょっと照れるよ。じゃあアウトプットに付き合ってもらえるかな?」
俺の質問に彼女は小さく頷いた。
「首、少し触っていい?」
「ん、問題ない」
彼女はポニーテールを左手で掴んで首から離した。
「うん、ありがとう」
えーと、アウトプットするには自分の中で発現する感覚をそのまま手から放出すればいいか。魔力放出に『イデント』を乗せるイメージで………
俺は右手を彼女の首元に近づけて優しく触れる。
「ひゃっ」
「っ、大丈夫?」
「………何も言ってない、続けて」
今の声、聞かなかったことにしよう。
俺は乱れてしまった頭のイメージを練り直してもう一度右手で首元を触れる。
………今回は大丈夫そうだ。
俺は魔力放出にイデントを乗せて手からゆっくりと送り出す。
「
暫くすると、近くからん、んっ、と小さな声が聞こえてきた。
俺は慌てて手を離すと、彼女ははぁと何度か息を吐き出した。
………なんというか、これはイケない事をしているような雰囲気になってしまうじゃないか!真面目にやってるのに!
俺は恐る恐る彼女に声を掛ける。
「ど、どうした?」
気のせいか彼女は少し頬を赤らめて答えた。
「………なんか、首に冷たい感じが送られてきて、ゾクゾクしたというか、、、」
とにかく失敗らしい。これ以上喋られる前に止めないとまずそうだ。
「分かった、皆まで言わなくていい。こっちは追々調整していくよ」
これに彼女はまた頷いてくれた。
すると傍から観ていた爺さんが笑い声をあげる。
「若ぇのは元気がいいなァ!昼から外でなんて!」
おい爺さん、誤解を招く言い方はやめてもらおうか!
ルドが爺さんの言葉から少し間をおいて語りかけた。
「ひとまず時間は経ったようだし、もう一度見渡したら目当てのクラスがいるかもしれないよ」
「そうだな、もう一度見渡してみよう」
全員で辺りを見渡すと、声を上げたのはティアだった。
「………いた」
彼女の指さした先には確かに魔法職らしき影が2つあった。
「本当だ………でもなんかもう一つ見えるんだけど」
「しかも大きくないかい?」
何か戦りあってるような音も聞こえる。
「爺さん、あそこまで瞬間移動できるか?」
「儂の視認できる距離なら可能だぞ」
「よし、じゃあよろしく頼む!」
「分かったぞ。お前ら、儂に掴まれ」
俺達は爺さんの腕に掴まる。
「『
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