第18話 剣豪爺さん、怪力かよ
「………うちのパーティにですか?」
「そう言っておるじゃろ。」
ルドは困り顔でこちらを見て、耳打ちしてきた。
(どうするショウ?凄くおじいちゃんだよ?)
(いや、見た目的に剣豪の可能性が高いだろうし)
(そうかな………)
(なら取り敢えずクラスだけ聞こうか)
俺は1つ咳払いをしてから問い掛ける。
「クラスを教えていただけますか?」
「愚問じゃ、見ての通りのセイバーじゃよ。それとも冒険者ランクと『イデント』を聞くつもりじゃったかな?」
―――やばい、冒険者ランクなんてあったのか……まだ知らない事が多すぎる。
「ルド、冒険者ランクってどこで分かるんだ?」
するとルドは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「え、それ研修の時の講義で受けなかった?他のことについても言えるけれど」
「ほら、俺が体力トレーニングで受けてなかったところじゃないか?」
俺の答えにルドは合点がいったのか、手をポンと叩いた。
「なら仕方ない、今までの事にも説明がつく。冒険者ランクについては簡単だよ。ステータスが書かれている裏面の左上にアルファベットがあるだろう?」
俺は自分の冒険者カードの裏を見ると、確かにアルファベットが書かれていた。
「なるほど、これか。C+」
「そう、ソレのことだ。僕も同じC+」
「………私も同じ」
しばらく話していると側方から強い圧を感じた。
「………………そろそろいいかのぅ?」
しまった!すっかり忘れていた………これはまずい。
「す、すいません!勿論です」
「儂の『イデント』は『瞬間移動』、そして冒険者ランクはB-じゃ」
瞬間移動!?俺達には移動する脚が足りなかったから最高じゃないか!
「俺としては是非受けたい提案です。が、2人ともどうする?」
俺が二人の方に視線を送ると二人は答えた。
「僕も是非受けたい。冒険者ランクも僕達より上だし、選択の余地はないんじゃないかな。」
「………いいと思う」
俺はその答えに大きく首を縦に振りながら提案する。
「よし、そうと決まれば早速クエストに行ってみようか!」
爺さんはそれににっこりとして口にした。
「儂の名はボクデン。よろしく頼む」
――――――――――――――――
ボクデンにクエストを選択してもらい、俺達は出発した。
選択したクエストは【メタリックリザードの討伐】である。
メタリックリザードはその名の通り金属の身体なので炎系の魔法で焼き払うのが正攻法なのだが、どうやら爺さんはそいつを斬ってしまうつもりらしい。
しばらく歩くと、メタリックリザードのいる洞窟まで到着した。
「よし、着いたな。早速リザードを探すか」
洞窟なのでやはり他の魔物も出現するらしい。スライムや岩の魔物などが多いが、そいつらが出現する度俺は魔力放出で焼き、ティアはダガー刺し、爺さんは剣で斬ったので、あっさりと進む事が出来た。
そして遂に目当ての魔物らしき気配を感じた。
「あれじゃな。こいつは儂に任せてくれんか」
「了解、ちょっと下がって見てるよ」
爺さんはリザードに対して構えをとる。それに対して突進してきた敵を真正面から受け止め、弾く。
剣の先端からは激しく火花が飛び散る。
「まじか!?あの重そうな体躯のやつに筋力でも負けてないのかよ」
「僕も驚きだよ………」
そして爺さんは腰を低くして力を込め、弾かれた敵の前方に瞬間移動をする。
「『真剣・斬鉄』」
奴は振り降ろされた剣を正面から食らい、両断された。
「凄い!凄いよ爺さん。落ち着いているように見えて意外とパワー系?とにかくこれからよろしく!」
「ああ、こちらこそ、な。」
俺と爺さんは握手を交わした。
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