第17話 魔王討伐ルート決定!

 「さてと、誰から風呂入る?」


「ティアからでいいんじゃないか?」


「俺もそう思うけどどう?」

 

 俺達がそう聞くとティアは表情を変えずに少し待ってから言い放った。


「………残り湯飲まない?」


「「飲むかぁッ!」」


「………そう、それなら私が最初に入るね」


 彼女はスタスタと風呂に歩いていった。


「アイツ、あんな爆弾発言するようなタイプだったのか………」


「僕も驚きだよ………」


「まあいいか、俺は机で本読んでるからルドは別の事してな」


「分かった」


 どうやらルドは歯を磨いたりして寝る準備をするようだった。


 ―――さてと、俺はスキル書でも読みますかー

 俺はリュックサックから大量のスキル書を取り出した。

 前にも言ったが俺は全クラスなので9冊も持ち運ばなければならない。 

 まずは汎用性が高く、簡単に覚えられる全クラスのステータスアップ系から修得しようか。


 


 俺がしばらく読んでいると、ティアが風呂から上がったようだった。


「上がったよー」


 俺が振り返って応、と言おうとして彼女を見ると、昼のポニーテールが解かれていて寝巻き姿だった。

 いや、なんというか色気が凄いんだが……


「………何読んでるの?」


 と聞きながら彼女は俺の手元を覗き込んできた。

 ―――近い近い近い近い!小学校の女子の距離感かよ!!


「あ、えっとこれはスキル書で簡単なやつから覚えようかなー、って」


「ふーん、いいんじゃない」


 駄目です、もう限界です。


「じゃ、じゃあ俺は先風呂入ってくるからー!ルド、いいよな?」

 

「ん?いいけどどうした………」


 俺はルドが言い終わる前に逃げるようにして風呂場に行った。


「ふう、危なかった(なにが?)さっさと風呂入って寝よ」


 俺は身体を洗って湯船に浸かった。


「………」


「………………」


「………………………」


 ―――ちょっと残り湯とか意識するのやめようか。シンプルにキモい。早く上がろう。


 俺は風呂を上がるとさっさと準備して寝た。




―――翌朝、三人になった俺達パーティは今日もまたギルドに出向いてパーティ募集をした。

 取り敢えず端の席に座ると、ルドが話しかけてきた。


「パーティを集めたあと、どう旅するかとか決めているのかい?」


「うーむ、、、いや全く!」


 俺の返答を聞いたルドは頭を抱えた。


「いくらなんでも無鉄砲すぎるよ君は!そんなので魔王を倒そうなんて言っているのかい?」


「そう言われましても、指標がないもので」


 とは言うものの流石にある程度目標を持って臨まないと後々困るし、どうしようか?


 それを聞いていたティアがしばらくすると提案してきた。


「………ならショウ、魔王を倒すにはまずは『八刀衆』から倒すのはどう?」


 ルドは顎に手を置いて考えてから言った。


「確かにね………僕もそれがいいと思う」


「悪いけどその『八刀衆』って何?」


「僕も面倒くさいから君の無知にはもう驚かないことにするよ、、、『八刀衆』っていうのは魔王直属の部下、つまり幹部八人のことだ」


 なるほど、そいつらが倒せなくて魔王が倒せるわけがないもんな。

 ルドの説明を受けてティアも説明してくれる。


「ルドシーの言った通り八人


「話の腰を折るようで悪いけどルドでいいよ」


 そういえばルドってあだ名が定着しすぎて本名忘れてた。まあいいか。


「………ならルドって呼ぶけど。で、説明の続きをするとさっき言った『八刀衆』は智、剛、狂、剱、武、影、鬼、鎮の八体で構成される」


「そうだね、でもそのうち三体、剛、武、鎮は『大陸最強討伐者コンティネンス・プライマススレイヤー』によって倒された」


 そいつはどんなやつなんだろうか?転生者?或いはこの世界の天才?


「そうか、そんな強いやつがいるなら一回会ってみたいな!」

 

 俺の言葉にルドは一拍あげてから口を開く。


「………だけど彼は討死した。四体目の討伐中だとさ。だから魔王討伐を目指すものは最近急激に減少している」


 俺はそれを聞いて口角を上げる。


「そいつが死んだのは残念だが他の冒険者どもは腰抜けか?今がってことだろ?ならそいつの遺志を継ぐ意味でも今攻めるべきだ」


 ルドはハッとしたような顔をしたあと、やれやれというふうに首を振った。


「全く、君はポジティブすぎるね。だけど正論だ。やるべき事は定まった!情報を集めて大きな街を経由しつつ北上するってことでいいかな?」


 ティアと俺は向かい合って笑顔で言う。


「「賛成!」」


 そんな話をしていると、近くに足音が寄ってくるのが聞こえた。


「儂をパーティに入れてくれんかな?」


 その人は、この世界では珍しい白い袴を着て腰に剣を差した白髪の男だった。


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