第2部 パーティ募集編

第14話 白髪で緑眼のメインヒロインは好みですか?

  俺達はギルドに着くと、ギルド嬢に言ってパーティ募集をさせてもらうことにした。

 パーティを募集するには紙にその旨を書いてクエスト板に貼り出して待っていれば良いらしい。

 

 そういえば服のことだが、学校の制服と寮で着ていた服しか持っていなくて困っていたところ、教官に時間稼ぎの礼と卒寮祝いを兼ねて送ってもらった。

 トップスはグレーに寄った白のもので、胸元から腰に掛けて緑寄りの青い上着があり、ボトムスは黒とシンプルなデザインである。

 ルドは前衛らしく可動部は黒で後は金属製の鎧のようなものを着ている。


「紙はルドが書いてくれ」


 するとルドはきょとんとした顔で聞いてきた。


「良いけどなんでだい?」


「単純に俺は字汚い方だからだよ。丁寧に書こうとしても素の雑さが滲み出る」


 その答えを聞いてルドは笑った。


「了解したよ」


「中身はクラスと方針だけ書けばいいか」


「そういえば僕もまだ何を目標に冒険するか君に聞いていなかったね」


 そういえば言ってなかったか………

 

「どうせここにいるのは半分ズルみたいなものだし、魔王討伐にしようかな」


 ルドは驚きもせず言った。


「君ならそうするんじゃないかって思ってたよ。あとその半分ズルって前も言ってたけどどういうことだい?」


 ―――あー、、、なんて言えば良いのだろうか………まさか異世界に転移してきました!なんて言えるわけないし


「なんか本当は死にかけてたのを神様に生かしてもらってる………みたいな?」


 それを聞いたルドは少し意外そうにした。

 

「へぇ、君って神様とか信じるタイプなんだ。まったく信じてなさそうに見えるのに」


「自分でもそう思う」


 ルドは話しているうちに募集の紙を書き終わったようだ。


「こんな感じでどうだい?」


 おぉ、やはり字が綺麗だ!


「いいんじゃないか。早速貼りに行こうぜ」


 俺達は紙を貼り出すと、端の方の席に座った。

 すると、先程までは気づかなかったが、冒険者たちがこちらをちらちらと盗み見ているような気がした。


「なぁ、なんか視線を感じないか?」


「確かにね………なぜだろうか?」


「パーティ募集が珍しい、とか?」


「そんなことはないはずだけれど、、、」


 俺達が不思議に思いつつも15分程待つと、近くに1人の女の子が寄ってきた。


 その子はだいたい160センチくらいの身長で華奢な体型、白髪でポニーテール、翡翠色の目をしていた。

 その服は髪色とは対照的で全体的に黒く、腕と足に装甲があって腹部と太腿、胸元が開いているタイプだった。

 まるで絵で描かれた女の子がそのまま出てきたかのようだ。


 すると無意識に、ごく自然と言葉が零れ出ていた。


「……………かわいい」


「?何か言ったかい」


 先程零れ出た言葉を思い出し、俺は慌てて口を塞いだ。


「いや、いや、なんでもないよ!何でもない………それより君、名前を教えてくれるかな?」


 ルドは俺を訝しげに見て言う。


「ショウ、今話題を無理やり変えたね。まあいいけど」

 

 

 そんな俺たちの様子を見ていた白髪の子は突然思いもよらないことを言った。


「………『ノートス寮の英雄コンビ』」


「「え?」」


 聞き間違いか?今この子はなんと言った?


「募集紙の時点でそうだとは思ってたけど顔を見て確信した。そうでしょ?英雄さん」


 ―――ダセェ、通り名ダセェよ!〇〇中の〇〇と大差ねぇ!さっき視線が集まってたのはこのせいか………、でもまあ


「そういうことになるのかな?」


 それを聞いたその子は口角を上げて微笑んだ。

 やはり笑っている顔もかわいい。


「じゃあ私をパーティに入れてくれる?」


 遂に来たのかこの時が!この世界におけるメインヒロイン的存在が!

 俺が即答でいいよ、と言う前にルドが答えた。


「まずは一回一緒にクエストに行ってからだね。あと名前とクラスを教えてくれるかい?」


 その子は忘れていたのかあっ、と声を漏らしてから言った。


「………名前はティア、クラスはアサシンとバンデット」


「えっ、二クラス持ち?」

 

 驚いたルドにティアはこくっと頷く。


「じゃあ早くクエストに行って力を見せてもらったら?」


「そうだね、丁度いいクエストを探そうか」


 俺達はクエスト募集板に向かった。

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