第13話 研修全課程修了!
………数日後、死闘を終え、研修の全課程を修了した俺とルドは遂に卒寮を迎えることとなった。
勿論、あの戦いで優遇されたのではなく、きっちりと試験を受けて合格したのだ。
そして教官室にて冒険者カードに修了証明をしてもらう。
この証明があることで、これからは一人前の冒険者として認められ、パーティを組んだりクエストに受けたりすることができる。
するとリヴァース教官が近づいてきて、讃えてくれる。
「よくやったなァ坊主共!卒寮まで流石の早さだ。」
俺は少し照れつつ言う。
「そんなことないですよ。あるとしたら教官の教え方が美味いからです」
すると教官は口を大きく開けて笑う。
「坊主、世辞もいける口か!あの状況で闘えたお前達ならきっとこれからどんな事があっても乗り越えられる。頑張れよ!」
教官は俺とルドの背中を強く叩く。
すると近くにいたポート教官からも話しかけられる。
「私もそう思います。あの時、貴方達の足止めがなければ研修生達にも大きな被害が出ていたでしょう。教官として感謝します。それと、私からも応援します。頑張ってください!」
「「はい!」」
俺達は腹の底から大きな声で返事をすると、教官室を出た。
そして二人の教官は研修生を見送ったあと、雑談を交わす。
「あの二人、どこまで行くと思います?」
ポートの問いにリヴァースは即答する。
「魔王討伐まで行ってくれるんじゃねぇか?少なくとも俺ぁそう信じてるぜ」
その答えを聞いたポートは微笑む。
「そうですね、では私も信じましょう」
二人の教官はもう一度、研修生の去った方向を見ていた。
――――――――――――――――
寮を出た俺とルドは先の強敵について話し合っていた。
「アイツ、かなり強かったらしいね」
俺はそれに頷いて、奴の事を考える。
報告によると、あの鎧は魔王直属の手下らしい。だが幸いにもされた指示が「研修生を殲滅すること」だったと推測されており、町民に被害はないようだ。
「改めて君の凄さを思い知らされた気がするよ。窮地で限界を超えて教官の力を最大限に活かす動きが出来るなんてね」
「いや、そんなことないよ。たまたま教官に『イデント』を聞いていただけだし、そもそもルドがいないともう死んでるしね」
「それに関しては本当にそうだよ。全く君は無茶しすぎだ」
俺は苦笑する。
そして気になっていたことを聞いた。
「そういえばルド、クラスはどうしたんだ?」
「僕は当然ガーディアンにしたよ。バリアの『イデント』を持つ僕がそれ以外のクラスにするなんて考えられないだろう?」
「確かにな………聞くまでもなかった」
「そういう君はどのクラスにしたんだい?」
「あー………俺?全クラスにしたよ」
「えっ!?全クラス」
「あぁ、俺もかなり驚いたよ。ギルド嬢からは最終的には1つに決めるって言われてたけど選択する時に全部選べそうだったからそれを選択したら本当に全部になったって感じかな」
本当に驚いた。1つに選ぶなら暗殺者系かなぁ、と思っていたのだが、全部選べるときたら選ばないほうが珍しいだろう。
「驚くべきポイントはそこじゃないよ!適正クラスが全クラスだってことだろう!」
「ありゃ、言ってなかったか。俺の『イデント』は万能タイプだから適正クラス自体は全部だったってことだよ。クラススキルの修得には結局時間がかかるし、ずば抜けて強くなるなんてことはないんじゃないか?」
クラスは全部で9つあり、ウォーリア、ガーディアン、ハンター、セイバー、アサシン、バンデット、ファイター、ウィザード、プリーストである。
それぞれの基礎となる最初のクラススキルは汎用性の高いものが多いので、まずはそこから覚えていこうと思う。
そんなことを考えていると、隣からルドの呆れたようなため息が聞こえてきた。
「はぁ~………まったく君ってやつは」
俺が不思議に思ってどうした?と聞くと、なんでもない、と返されてしまった。
「君はこれからパーティを組むあてはあるのかい?」
「ねーよ」
するとルドは少し嬉しそうに提案してきた。
「なら僕と組まないか?」
手を差し出してきたルドに俺はそういうことか、と思い軽快に笑ってその手を握り返した。
「勿論だ!丁度前衛職が欲しかった!」
「じゃあ契約成立だね、これからもよろしく!」
「応!」
俺達は笑い合って寮からの路を歩いた。
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