第10話 衝撃
俺は2週間ほど体力トレーニング毎日走り続けた。
そうすると教官に体力の上昇が認められ、トレーニングを継続しつつ他の講義を受けられるようになった。
その後さらに2週間、モンスターの特徴を聞いては走り、体術の教えを受けては走り、という生活を繰り返した。
「ルドー?ステータスをチェックしに行かないか?」
そうするとルドは満面の笑みで
「勿論!早く行こう」
と返してくれた。
俺達は教室の前にある『ステータサー』の近くまで来た。
「じゃあ俺から確認してもいいか?」
「いいよ、お先にどうぞ」
俺はありがとう、と返しながら冒険者カードを取り出す。
緊張するな〜。一体トレーニングを経てどのくらいステータスが成長したのだろうか………?
俺はカードを通し、出てきたカードを恐る恐る確認した。
「『知力B+』、『筋力C+』、『体力C』、『敏捷性B』、『幸運B』」
―――っ、よしっ!
俺は思わずガッツポーズをしてしまった。
しかしそれもしょうがないだろう。なぜなら、体力がEからCまで4段階上昇しているのだから!
低いものは上がりやすくて強ければ上がりにくくなるのはゲームの鉄則だから、他のステータスのも想定通りの所まで上がってきている。
「どうやらその顔を見る限りいい結果だったようだね。僕にも見せてくれないか?」
俺はカードを嬉々としてルドに差し出し、それを受け取ったルドは大きく頷いてから言った。
「流石のステータスだ。やはり君は強くいて貰わないと僕はライバルの超えがいがないからね。つぎは僕の番だよ」
ルドも冒険者カードを取り出して『ステータサー』に通した。
ルドのステータスはまだ見たことがないから、どのようなステータスをしているのか気になる。
するとルドも喜んでいたので、いいステータスなのだろうとすぐに分かった。さっきの俺もこんなに喜んでいたのか。
「俺にも見せてくれよ」
ルドはいいよ、と言ってカードを俺に見せてくれる。
「『知力C』、『筋力B』、『体力B』、『敏捷性B』、『幸運C+』」
げっ、あれだけトレーニングしても体力で勝てないのかよ………
俺の顔を見てルドは自信ありげに言った。
「前衛職志望の僕が君に体力で負けたら僕の価値がないだろう。でもステータスは2勝2敗1分で同点だね。次は超えてみせる!」
「勝ってる知力の部分で俺が3段階勝ってるから同点じゃないです〜」
「なんだと!君、そんな所で意地を張るとは情けないな」
俺達がそんな軽口を叩き合っていると、突然宿舎が大きく揺れた。
そして数秒後に甲高く館内にサイレンが流れた。
「緊急警報!緊急警報!突然何者かからの襲撃を受けています!直ちにグラウンドの反対側に避難してください!」
はぁ!?いきなりなんだってんだ?グラウンドに襲撃だと!?
すると宿舎がまた大きく揺れる。
「まずいぞルド!グラウンドからはここが一番近い!」
「そうだね………早く逃げよう!」
待てよ、、、この規模の襲撃なら逃げた所でほとんど無駄だ。
俺は既に一度死んだ命だ。行きたい世界に来て、欲しい力を手に入れた。
ここで使わなくてどうする!
「――――――ルド、俺は教官が来るまでの時間稼ぎをしに行く」
ルドは俺に大声で捲し立てる。
「君、馬鹿なんじゃないか!?君がいくら優秀だからと言って太刀打ちできる相手じゃきっとない!自殺しに行くようなもんだ!話している間にも宿舎は壊され続けている!」
「………いいんだ。俺がここにいるのは半分ズルみたいなものだ。教官室からグラウンドまでは全力で走っても1分かかる。最低限の戦闘用意も兼ねたらもう少し掛かるだろう………じゃあ、行ってくる」
俺はグラウンドに向かって駆け出した。
――――――――――――――――
グラウンドの中央付近には黒く邪悪なオーラを纏った鎧が動いていた。
「おいそこの鎧、冒険者を狙ってるならここにいるぜ。さっさとかかってこいよ」
黒い鎧は剣を宿舎から俺の方に向け、構えをとって力を溜め始めた。
攻撃が始まるその刹那、俺は呪文を唱える。
「『身体強化』………全開っ!」
「『
トレーニングで使えるようになったさらに速い速度なら、時間くらいは稼げるかもしれない!
俺は黒い鎧が放った斬撃を間一髪で躱す。
―――危ねぇ!でもまだ来る、あと3発!
俺はそのどれもを直前で躱し、一度下がって体勢を立て直そうとすると、そこに不意打ちの先程よりも二段階速い斬撃が飛んできた。
「―――くっ、『シールド展開』!」
最後の抵抗も虚しく、俺の前に展開されたシールドは音を立てて破壊された。
―――クソッ、もう終わりかよ………
俺がもう戦いを諦め、目を瞑りかけたその瞬間、後ろからこの世界で一番聞き慣れた声が聞こえてきた。
「『
俺の眼の寸前のところに展開されたソレは割れる直前で敵の攻撃を打ち消した。
「君だけに死なれても居心地が悪いからね。今回は君の馬鹿に乗っかってあげよう」
「――――――ルド!?」
ルドも相当全力で走ったのか、息が切れぎれだ。
「2人いれば何とかなるかもしれないしね」
確かに、2人いるというだけで言葉に言い表せない安心感と自信が湧いてくる。
「ああ!ありがとう、ルド。1分だ。あと1分稼ごう。教官達が来るまで!」
俺達2人は戦闘の構えをとる。
「行くぞ!!!」
「応!!!」
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