第9話 地獄の体力トレーニング
食堂で飯を済ませた俺は、リヴァース教官の元に向かった。
「おう、来たな。じゃあ早速トレーニングといこうじゃねぇか、坊主!」
「はい!」
俺は教官に連れられてグラウンドに来た。
宿舎を左側にしてかなり広いグラウンドである。
一周約300メートルといったところか。
「回復ポーションはここに置いとくぜ。ざっと30本ってとこだな。1本あたりの値段もまあまあするから無駄にすんなよ!」
「分かりました。トレーニングを始める前に1つ質問していいですか?」
「おう、なんだ?」
「教官の『イデント』って何ですか?」
リヴァース教官は突然の質問に意外そうな顔をしたが、快く答えてくれた。
「俺の『イデント』は『反射』だ。飛び道具だけじゃなく受けたダメージを貯めてぶっ放すことも出来るぞ」
近接タイプの苦手な飛び道具に対処出来るうえ、ダメージさえ活かすこの能力は脳筋(おそらく)のこの人にはぴったりだ。
「ありがとうございました!ではトレーニングを始めます!」
「ああ!最初から全力で走って本当に倒れるってなる直前まで回復ポーションは飲むなよ。俺ぁ他にも用があるから場を離れるが時々見に来るぜ!頑張れよ!」
「あ、ちょっと待ってください」
「なんだ坊主?」
「これって基礎四大魔法の身体強化と、私の『イデント』を組み合わせてやったほうが効率よくないですか?」
教官は感心した様子で返した。
「なるほどな、体力の減る速度を上げることでトレーニングの効率をあげて魔力の訓練も同時にするって腹か。いいぞ、やってみろ!」
俺は頷くとクラウチングスタートの姿勢を取り、技を発動した。
「『身体強化』」
からの………
「『
俺は全力で地面を蹴って駆け出した。
―――60秒後、俺はグラウンドを3周と少しした所にいた。
「………はあっ、………はあっ………限界………」
いくらなんでもキツすぎる………最初から全力で走ってんのに120秒分も持つわけがない。
でもまだあと1周は………いける!
ここで踏ん張らなきゃ体力トレーニングの意味がない!
俺は気力だけでもう1周を走り切った。
そして俺は最後の力を振り絞って回復ポーションを左手に取り、一気に飲み干した。すると、先程までの疲労が嘘のように回復し、魔力も完全な状態に戻った。
「あとこれを何十回も繰り返すのか………」
身体的にはこの通り大丈夫だが、メンタルにくるな、、、それもトレーニングの一貫だと思ってやるしかないか………
俺はもう一度自分に魔法を掛け、全力で走り出した。
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