6
*まえがき
ペンネームを
――――――
魅了をかけると前述の効果が現れる。魅了をかけられた相手は全員フェアリーに夢中になってしまうのだ。
だから、ねこりは恋心寸前のような気持ちをリーシャに抱いている。そして、本人はそれに戸惑っている。
――そして、時は会計時に遡る。
「葉桜さん、葉桜さ――」
ボーっとしてしまって、何も聞こえてこない。
「……」
「葉桜さん」
「は、はいっ!」
「代金は◯◯ユーロです」
何故かこの世界の通貨はヨーロッパ圏で多く使われている、ユーロになっている。ねこりにもよく分からん。
代金を払う。何故かログハウスにお金の入った袋があったので、その中のお金を使う。
「それではまたのご来店をお待ちしております――」
「――ちょっと、待って! 私、食料不足なんです」
「そうですか」
「少しくらいは心配して下さいよ! ――それで、テイクアウトで何か買えますか?」
「買えますよ」
見上げれば、ドリンク・おやつなどの商品名とその横に値段が書かれた、メニュー表があった。その殆どがはちみつ類。
「それでは、ハニートースト2枚とはちみつのど飴とはちみつ瓶を下さい」
「かしこまりました」
程なくして、商品を受け取った。
「そして、こちらが当店『ハニーカフェテリア』のクーポン券です。是非、使ってみて下さいね。またのご来店をお待ちしております」
「はいっ。また来ますね。これで餓死は避けられそうです」
「あはは」
リーシャは無邪気に笑うと――こう告げた。
「あの、手を差し出して頂けませんか?」
「手、ですか。はい」
ねこりが手を差し出したのち、リーシャはねこりの手の甲に軽く口づけした。
ん!? ん?
何されてるの、ねこり。
「森の中でも迷わず、当店に来れるおまじないです♪」
はあああぁー?
異世界の魔法、ていうかこの世界の魔法は本当に分からない。謎過ぎる。
興奮しすぎて、ねこりは何も言い返せなかった。赤面した顔で店を出る。
でも、リーシャのおまじないは
店から離れるとハニーカフェテリアが光って見えるし、脳内では地図が浮かび上がって、ハニーカフェテリアの場所が赤く点滅して、場所が分かるようになっていた。
これなら、迷子にならなそうだ。
リーシャに教えてもらった通りに森を何とか抜けると、王都が見えてきた。
門の近くで手続きをし、街に出る。
そこはヨーロッパの街並みによく似た風景が広がっていた。てか、もうほぼほぼヨーロッパじゃん。通貨もヨーロッパだし、もうヨーロッパでいいんじゃね? て、ねこりは思う。
そして、もう一つ驚くべきことがあった。街を見渡す限り、女だらけ。約200人ほどを見て、そこに男がひとりも含まれていなかったら、もうこの世界には男がいない確定でいいんだよね? それともこの街だけなの?
すれ違う人、全員女性。
もうハーレム漫画のような世界観になっていて、呆れ通り越して笑えてくる。
あ、リーシャから王都の場所は教えてもらったけど、服と食料品が売ってる場所は教えてもらってない。適当にぶらぶら歩くか……。
店はまだ見えて
最後にもう一度、言っていい?
「女しかいないじゃん」
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