第4話 指輪の名前
兵士達は、縄で縛った後に僕らを一列に並ばせた。その並んだ先には、紙とペンを持った男が座り何かメモをする体勢となっていた。
僕はこの捕虜の中で最年少という事で一番最後に並べさせられ、前がどんな感じになっているのか覗きこむ。
「おい、じいさん、あんたのはなんだ?」
「わしは、探査じゃ・・・」
「探査ね・・・回数は」
「5じゃ・・・」
「クスクスクス・・・じじいにもなって5かよ。次」
「おらっじじい、さっさと動け!」
「がはっ・・・くっ」
神官のおじいさん。いつもは威厳に溢れていたが今はただの非力なただのおじいさんになっている。背中を押され、地面に体を打ち付けたまま悔しさか痛みからなのか動くことが出来ずにいた。
その後も兵士は、捕虜全員の能力をメモ書きしていっているようだった。
「最後、そこの汚い小僧。こい」
「はい・・・」
僕の番となってしまったが・・・ずっとヒヤヒヤしている。僕は自分の能力を知らないのだ
「お前のはなんだ」
「あの・・・知りません・・・」
「は?」
だが、どう説明したらいいのか分からずに正直に言うしかなかった。
「今日貰ったばかりで・・・使い方も知らず能力も・・・」
「・・・お前のそれ本物だよな?」
そういい、兵士は僕の指輪を外そうと引っ張る。だがすでに僕の指に馴染んだ物だ、兵士は指輪を引っ張っているが僕からしたら、直接指を引っ張っられているようなもんで痛い。
「外れねぇ・・・本物か・・・鑑定士今いねーんだよな・・・くそ」
「あのどうやったら使えるのでしょうか・・・」
「あ~・・・指輪の名前しらねーと使えねーだろ。ちょっと隊長に聞いてくる」
メモ書きしていた兵士は、先ほどの上官の元へと指示に向かった。
指輪の名前知らないと使えないのか・・・みんなどうやって指輪の名前把握したのだろうか・・・隣にいる神官のおじいさんに聞いてみたいが私語をするのも勇気が出せなかった
兵士はすぐに戻ってくると、一冊の本を手渡してくると
「この中にお前の指輪の名前があるかもしれねーから、それを一個づつ読んでろとさ」
「はい・・・」
そう言われ、繋がれた縄が外された。
本を受け取り中を見ると、びっしりと文字が・・・文字は読めるがこれはここトリスタル共和国の書体と、少し違うようで読み辛さがある。
「分かったらすぐに教えにこいよ、後、縄を外してやって意味を履き違えるなよ。ああなりたくなかったらな・・・」
本を渡してきた男は、親指でクイっと先ほど死んだ水売りの男をさした。
「はい・・・」
そして兵士達は準備があるのか、村の家に入り食料などを集め出した。捕虜となった僕らはその場に座らせられ、待つことになったので僕は渡された本を読むことに。
こうやって一つずつ自分の指輪がなんて名前なのか、調べていくのか・・・鑑定士って人が居ればそれもなくなるんだな・・・
動物言語やら、火球、招雷、呼び水など比較的読みやすい物から読んでいくことにすればいいのか・・・
僕が本を読みながら待っていると、僕達捕虜の前にドサっと革袋の背負いカバンがおかれる。
「お前らの荷物だ、それを運べ」
捕虜というよりかは奴隷のような扱いだ。
目の前のカバンを背負うと、重さ10kgはありそうな様子に足がふらつく。神官のおじいさんは背負った後に中々立ち上がれずにいて、兵士に無理矢理立たされている。
そして兵士達も準備が出来たのか、馬にまたがる者も増え始め僕らは、この場から離れ連れていかれてしまうようだ
ばあちゃん・・・
最後の身内を失くしてしまい、天涯孤独になってしまった。悲しんでいる暇も与えてくれないように帝国兵士団はカルラ村を後にしたのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます