第三章 第六話

僕は家に帰って早々、「ふはぁ」と間抜けな声をあげて、自分のベッドに寝転がった。

壮絶な一日だった。

ゆげが言った通り、ほとんど休む時間はなかったが、今日だけで十本の動画を撮り終えた。場所は公園や飲食店、そして撮影スタジオ。移動を最小限に抑えている。

慣れない仕事というのもあったが、家に着く頃にはほとんど動けなくなってしまった。


僕は床に寝転びながら天井を見た。これだけ疲れたのは、三ヶ月に及ぶ研修を終えた後、総務部に配属された初日以来だ。その時も僕はこんなふうに床に寝転がって、天井を見て、全身に伝わる疲労を感じていた。


 だが、エキサの四人は違った。この忙しさが日常なのか、スマホ画面越しでいつも観ていたいつもの調子で、感情を露わにしていた。

 僕は「この人たちすごいなぁ」と、僕はカメラの向こう側で思うと同時に、少し黒い選択肢が頭をよぎった気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る