第一章 第七話
美由は沙希と合流する前に、集合場所の近くにあったカフェでカフェオレを飲みながら、スマホで自分に似合いそうな服を調べていた。だが、本当にこんな服が似合うのか。美由は自信が持てなかった。
ふうと口から空気を吐いた後、スマホが小さく震えた。スマホ画面の上を見ると、沙希からの連絡で『着いたよ。東口にいる』と送られてきていた。美由はカフェオレを勢いよく飲み干し、席を立った。
カフェオレが入っていた透明のコップを返却口に置き、カフェを出た。そして、駅の東口に早歩きで向かった。美由が指定した駅はあまり大きなものではないため、沙希はすぐに見つかった。
美由は手を振りながら、沙希に近づいていくと、沙希も気が付いたようで手を振り返してきた。
「おはよー沙希ちゃん。少し待たせちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。ちゃんとした理由があるんだって知っているし」
「あと、買い物に付き合ってくれてありがとう」
「それも大丈夫だよ。美由を魔改造できるって聞いて、めっちゃ楽しみにしていたんだから」
「魔改造って、なにそれ!」
美由は手で口を抑えて笑った後、改めて沙希の服装と顔を見た。
白のニットの上に黒のジャケット、黒のパンツ、黒のブーツを身に付けていた。そして、その服装に合わせた派手なメイクをしている
やはり沙希のファッションセンスは画面の向こう側の人間と同じだ、と美由は思った。
それに比べて、美由の服装は茶色のセーターの上に黒色のコート、茶色のパンツ、黒のスニーカーを身に付けている。そして、メイクはいつもと同じで必要最低限だ。
美由はこの服装やメイクが自分に似合っているとは思っておらず、もっと上にいけるのではないかと思っている。
「でも、今日は一日、よろしくお願いします!沙希先輩!」
美由は人目も気にせずに丁寧に頭を下げた。
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