第一章 第六話
(しゅんくんの気を惹くにはどうすればいいだろう)
美由は電車に揺られながら、ぼんやりと考えていた。電車内で沙希に宣言したのは良いものの、同窓会まではもう二週間を切っている。だが、今やっている魅力的になるためのことは、日課の食事制限と必要最低限のメイクだけだ。
しかし、これだけじゃ足りないと美由は思っていた。
動画配信者として、様々な魅力的な女性と会ってきているはずのしゅんには有象無象と同じだ。自分のことを中の下くらいに評価している美由は、焦燥感に追われていた。
今からできることなんて限られてくるだろうし、ここから毎日絶食でもしない限り、痩せることなんてできないだろう。
だが、メイクの仕方やファッション次第でかなり変わってくる。
(自分よりもメイクに詳しい人……ファッションに強い人……)
美由は電車の天井を眺めながら、頭の中で自分よりもオシャレな人を探していた。だけど、ただオシャレな人では駄目なのだ。
自分と仲が良い人、なんでも聞ける人が良い。
だけど、そんな人は限られてくる。あまり友達が多くないのもあるが、もし高校の同級生に聞いてしまった場合、同窓会に向けて気合入っていると思われてしまう。
高校の同級生ではなく、自分よりもオシャレな人。その時、美由の脳裏に金髪を揺らしながら、電車から出て行く後ろ姿が過った。
「あ」
美由は思わず声を出してしまった。だが、ちょうど電車内でアナウンスが流れたため、難を逃れた。
(沙希ちゃんってめっちゃオシャレじゃん。近すぎて気が付かなかった)
美由は早速、スマホで沙希の連絡先からメッセージ画面を開いた。
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