第一章 第十六話
美由は大学の食堂で、スマホの画面の明るさを下げて、検索サイトで何かを調べていた。
さっき大学にあるコンビニで買ったホットカフェオレを啜り、自分の心を温めていた。
「お待たせ」
後ろから沙希に声をかけられ、美由はびくっと体を震わせてスマホをテーブルの上に伏せた。そして、美由は顔をあげて、沙希の顔と持っているおぼんの上の料理を見た。
「沙希ちゃん、今日はカレーにしたんだね」
「うん。久しぶりに食べたくなってさ」
沙希はテーブルの上におぼんを置き、美由の対角に座った。そして、「そういえば」と沙希が切り出して来た。
美由は昨日の同窓会でしゅんが来なかったことを話した。自分がどれだけ同窓会の為に努力をしてきたのか、どれだけ同窓会に力を入れていたのか。だが、美由自身も同窓会に当日に行かなかったということは言わなかった。
「それは大変だったね」
沙希はカレーを食べる手を止めて、何度も頷いた。
「沙希ちゃんにメイクもファッションも一緒に考えてくれたのに、良い報告できなくてごめんね」
「大丈夫だよ。美由と一緒に買い物できて楽しかったし」
「ありがと」
美由は心から感謝した。
美由の話を聞いている間も、沙希は静かに相槌を打つだけだった。それが美由にとっては心地良かった。これから美由がしようとしていることも、沙希なら受け入れてくれる気がした。
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