第一章 第十二話
遂にこの日がやってきた。高校三年の時のクラスメイトのほとんどが集まる同窓会。その待ち合わせ場所である駅の前に美由は来ていた。
沙希と一緒に買いに行った白のニットと茶色の無地のスカート、その上から黒のジャケットを身に付けている。そして、沙希から教わったメイクも美由の中では九割以上、再現できている。
コンディションは完璧だ。
あとは同窓会でしゅんに積極的にアプローチしていけばいい。
美由は腕に付けていた小さな腕時計で時間を確信した時、腕全体に鳥肌が立ってしまっていたことに気が付いた。卒業してから一年も経っていないはずなのに、何故か緊張してしまっているのだ。
(何くよくよしているんだ、私)
十五分前に着いていた美由であったが、緊張して待ち合わせ場所まで行けない。周辺をうろうろと徘徊し、待ち合わせ場所の様子を確認していた。だが、こんなところを元クラスメイトの誰かに見られるのも恥ずかしいので、顔を見られないように俯いていた。
しかし、そんなことをしているうちに時間は刻々と過ぎていき、集合時間三分前になってしまっていた。数分前から到着したという連絡がクラスのグループチャットで鳴りやまない。
そして、美由がスマホを確認した時、二つの通知が目に入ってしまった。
一つはこの同窓会を計画した幹事からであり、集合時間になったら店に向かうから直接向かってね、とのことだった。
もう一つはしゅんからグループチャットに送られた連絡だった。
『ごめん。今日難しくなった』
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